大阪の南に位置する西成区。日雇い労働者が集まるあいりん地区や、現在も遊郭として営業する飛田新地などが広がる、いわゆるディープで猥雑な大阪のイメージそのままの地域である。 「O才」展の舞台は、その西成の北東に位置する山王地区。昔ながらの商店街や長屋が建ち並び、昭和の時代を想わせる。どこか懐かしい日常の風景に、梅田さんは作品を紛れ込ませた。下町の路地でぽっかりと顔をのぞかせる空き地を出発点に、鑑賞者は山王の商店街や住宅街、さらには遊郭の飛田などの主に4ヵ所を巡りながら、作品と出会っていく。 とはいえ、どこまでがまちの日常で、何が、どこから作品なのかは、一見しただけではわかりづらい。有線から流れる戦前の大阪の流行歌。ゴルフ場に浮かぶ、巨大な黒い球。輪になって何やらゲームのようなことに興じるひとたち……。日常ではあり得ないような、でもこのまちならあってもおかしくないような、少し謎めいた光景がところ