ポルトガル北西部に位置する街、ギマランイスを舞台にしたオムニバス映画『Historic Center / Centro Histórico』のアキ・カウリスマキのセグメントの短編『Tavern Man(バーテンダー)』。時間は15分ほどととても短いけれど、じんわり染みてくるような映画だった。主人公はバー兼食堂を経営している男性。セリフはひとつもなし。ストーリーは彼の表情を中心に進行していく。もちろん、そのほかにも状況や心情を語るものは色々とある。日差しや場所や音楽が、セリフを発しない彼の代わりに色々と語っている。 このオムニバスには、ビクトル・エリセの『Broken Windows: tests for a film in Portugal(割れたガラス)』も含まれている。閉鎖された紡績工場内の食堂で撮られた写真に写るかつての労働者たちの姿が、彼らの日々の生活をすぐ近くにあるもののように感