嵯峨谷でビールを二杯飲んできていた。OMSBのDJを、アルコールで神経を緩めて聴きたかったのだ。 ぼくのヒップホップの趣味は元々狭い上、最近は全然過去作も掘っていないし新譜もチェックしきれていない。OMSBの属するSIMI LABも「名前は知っている」というぐらいで知識は全くなかったし、OMSBのかけた曲が、誰の何という曲かも全く分からなかった。ただ、最近流行りの電子音メインのトラックでなく、ブレイクビーツの匂いが濃いリズムと、ぼくがヒップホップのウワモノらしいと思う音が鳴る曲がよくかかって、大変気持ちよく踊れた。 それまで会場には、入江陽がbutajiと制作し、間もなく一般販売予定の『探偵物語』がかかっていた。それだけでリリースパーティーの雰囲気が感じられて快かったが、OMSBが会場後方のブースに入り、照明が暗くなった途端、一気にパーティーの様相を呈し始めた。月曜の七時過ぎに、ナイトクラ