DJ・プロデューサー・教育者と様々な方面からデトロイトを支えるレジェンドが様々なトピックについて語る
Kenny Dixon Jr., AKA Moodymann, is one of the most enigmatic and charismatic figures in house music. Despite his refusal to give interviews and play the press-and-promo game, Dixon Jr.’s voice has been clearly amongst the loudest when it comes to preserving the rich heritage of Afro-American music while fighting the industry powers that be. Blessed with an immaculate way of sampling, he takes stem
デトロイト・テクノは、複数の位相において起点となり、価値観を更新したという意味において、ターニング・ポイントであり、ビッグバン(はじまり)だった。都市のレポートとしての音楽、都市という牢獄から脱出する術としてのベッドルーム・テクノ、ヨーロッパとアフリカの衝突、ポスト・ブラック・ナショナリズム……、ある意味ではより民主主義的なインディ・シーン、いち個人いちレーベルの現代の先駆けでもあった。 クラフトワークは理解できても「エイフェックス・ツインの音楽はどうしてもわからん」という御人はいまも少なくなく、しかし、その“てんで話にならない”音楽は、この30年間で膨張し、がっつりとひとつの価値体系をモノにしている。その契機となったのが、デトロイト・テクノだ(現代ではさらに新たな価値体系が生まれつつあることは、OPNを聴いている人はうすうす感じているだろうけど、しかしそれはダンス・ミュージックではない)
「自動車の街」として繁栄した米ミシガン州デトロイト市が財政破綻(はたん)してから約1年がたった。中心部の空きビルにはベンチャー企業が集まり始め、少しずつだが、活気を取り戻しつつある。若い起業家たちの熱気が、地域の再生につながると期待されている。 「まさかデトロイトで事業ができるとは思っていなかった」。こう話すのは、新興企業「スティック」を共同で創業したネイサン・ラベンズ氏(30)とジェイ・ギーラック氏(30)。デトロイト市郊外で育った2人は高校卒業後、東海岸のハーバード大に進学。その後、「シリコンバレーで起業家になる」と目標を立て、2010年に西海岸地区で創業した。 スティックは、弁護士や歯科医、不動産業者などのサービスの満足度について利用者が採点する口コミサイトを運営する。創業から2年、事業拡大を考えていたところ、デトロイトのベンチャーキャピタル(VC)から「地元を拠点に活動するなら資金
最初のEPが出た2007年から、あるいはそれ以前から、大きな注目を集めていたカイル・ホールの初来日がやっと実現する。16歳でオマー・Sのレーベル〈FXHE〉から(14歳のときに作った曲で)登場し、翌年には自身のレーベル〈Wild Oats〉を設立。昨年には満を持してファースト・アルバム『The Boat Party』をリリースして高い評価を得た。そのサウンドには、デトロイトという特殊な音楽文化を持つ街で育まれたタフさと、若さと、希望が詰まっている。 現在22歳の彼は、地元であるデトロイト市内を拠点に、世界を飛び回る人気DJとして、レーベル・オーナーとして、そしてプロデューサーとして、誰もが夢見るような生活を送っている……かのように見えるが、実はそれ故のストレスや悩みを抱えているようだ。 今回、「せっかくの初来日だから」とインタヴューを申し込んだところ、実はいちど断られた。ここ最近はほとんど
廃墟、破綻、暴動、モーター・シティ。デトロイトと聞いてテクノ以外に対となる言葉はこんなとこだろう。愛、暖かい光、力強さ。そしてその間にある荒廃。眩しいぐらい前進する言葉が並ぶが、わたしが見たデトロイトは、まさにそれだった。乱反射する輝きに、荒廃する街は少し滲んで見えた。 「デトロイト市財政破綻」のニュースが流れた直後の、7月31日から8月5日までのあいだデトロイトに滞在した。そんなにすぐに街に何か変化が出るわけではないとわかってはいたが、わたしは少々ナイーヴな時間を成田からデトロイトに到着するまでのあいだ過ごした。到着後、滞在予定のモーテルに向かう車内から外を眺めていると、瞬きをするように目に廃墟が飛び込んでくる。生気がなくなっている街には夏が似合わないな、と思いながら車に揺られた。しかし、この日からの毎日は報道されている「危険な街デトロイト」とはほど遠いものだった。 水面が輝くデトロイト
写真が物語っている。湖に近いデトロイトでは、ボート(通常、ヨット)の所有者が多く、ボートを使ってのパーティ、文字通りのボート・パーティが頻繁に開かれる。ボートを所有し、ボート・パーティを開くのは、限られた金持ちだ。デトロイト新世代を代表するカイル・ホールは、寒い岸辺に捨てられたボートの上に佇んでいる。その寂れた光景からはデトロイの新たな衰退が見える。中産階級の衰退だ。 カイル・ホールに何を期待していたのだろう。うっとりするような荒廃の叙情詩? ケニー・ディクソン・ジュニアのファンクネスを継承する色気のあるモダン・ブラック・ミュージック? 『ザ・ボート・パーティ』を聴いてまず耳に入るのは、その低解像度な音、ペラペラなビート、リズム、リズム、リズムだ。デトロイト(あるいはロン・ハーディ系の......と言えばいいのかだろうか、DJエイプリル!)のトレードマークである生々しいEQ操作、ま、とにか
○ Part 1 Featuring : アーティストと音楽の関係に内面から迫るインタビュー ○ デトロイト・テクノ第二世代の筆頭株Carl Craigは、驚異的なペースで、69、BFC、Designer Music、Paperclip Peopleなど様々なソロ名義、Innerzone Orchestra、Urban Tribe、The Detroit Experimentといったユニットの作品やクラブ・アンセムとなったリミックスなどを大量に世に送り出してきた天才的プロデューサー。特にジャズのエッセンスを色濃く感じさせる作風は、唯一無二である。 私の初期の音楽体験は全て、兄を通してでした。彼はギターを持っていましたが、ベースが弾きたいと言って、弦を二本取っていました。兄がいない隙を見計らって、僕もこっそりそれを弾いてみていました。 僕が育った頃、デトロイトの犯罪率と殺人率はとても高く、僕
シェラード・イングラム、またの名前をDJスティングレー、より多くの音楽ファンのあいだではアーバン・トライブの名で知られる男......それはホアン・アトキンスからはじまるもうひとつのデトロイト・テクノである。それは地上を呪ったドレクシアであり、アメリカを"ファシスト・ステイト"と定義したドップラーエフェクトであり、そして"モダン文化の崩壊"をデビュー・アルバムのタイトルにしたアーバン・トライブ、すなわちオリジナル・ドレクシアの3人のメンバーであり、そのうちのひとりがシェラード・イングラムというわけだ。 ドレクシアの死後、つまりゼロ年代以降、これら"もうひとつのデトロイト・テクノ"は、主にUKの〈リフレックス〉、ベルリンの〈トレゾア〉、ミュンヘンの〈インターナショナル・ディージェイ・ジゴロ〉、あるいはオランダの〈クローン〉によってプロモートされている。〈リフレックス〉はドレクシアの変名トラン
結論から言えば、本作『Moodymann』はここ最近のムーディーマンのなかでは抜きんでている。まず何よりもこれは『Black Mahogani』以来の大きなリリースであり、ここ数年のベスト盤的な内容で、彼の集大成でもある。これからムーディーマン(デトロイトの、カルト的な人気をほこるハウス・ミュージックのDJ/プロデューサー)を聴きたいという若い方がこの文章を読んでいたら、迷うことなく本作を手にするがいい。 というか、このところのムーディーマンは、2012年の『Picture This』をのぞけば、長くもなく短くもないミニ・アルバムをヴァイナルのみの限定盤としてリリースしている(2008年の『Det.riot '67』、2009年の『Anotha Black Sunday』、昨年の『ABCD』……)。これらはすべてが予約で売り切れるほどの競争率なので、本当に好きな人/レコードのためには努力を
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