ミャンマーは、現在、いろいろな意味で世界中から注目されている。1990年、軍事政権が総選挙の結果を無効とし、民主化勢力を率いるアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)を長期間の自宅軟禁に処した。2015年の総選挙では、スーチーの国民民主連盟(National League for Democracy, NLD)を含む主要政党が揃ったが、それは1990年以来、初めてのことだった。その後、ミャンマーでは民主化が進み、世界からの広範な投資、表現の自由、国境を越えた文化協力に、門戸が開かれた。 一方、ミャンマー国民として認められていない、イスラム教徒少数民族〈ロヒンギャ〉に対する深刻な人権侵害、いわゆる〈ロヒンギャ問題〉が世界でも大きく報じられている。現在、国家顧問、外務大臣、大統領府大臣を兼務するアウンサンスーチーは、1991年、ノーベル平和賞を受賞したものの、ロヒンギャ問題に関す