某合衆国の宇宙開発関連部局の人間が、非公式に我が国の外洋沖合に軌道エレベーターを設置したいと打診してきたのだが、予定地は本来理想とされる赤道周辺から緯度が外れ過ぎていてケーブル強度と張力の関係から底部を地上に固定することが難しいため、下端が空中に浮かんだ極超音速スカイフック構造を採用する計画になっている。 軌道エレベーターは本来、地上と軌道上との移動コストを縮めるためのものなのに、外洋の、しかも大気圏よりも高い位置に地上側ステーションを設置する超音速スカイフックでは経済効果が見込めず、我が国としては反対の意思を伝えたのだが、彼の国の機関は聞く耳をもたず、我が国政府の頭越しに国内の某旧財閥系企業と直接交渉を進めている。 日銀や経団連など経済界の主だった面々もはじめは反対していたのだが、某旧財閥系企業が提示したエレベーター外郭施設の建設・整備による経済効果の試算がひどく気に入ったらしく、今では