シリア難民の西欧(特にドイツ)への大量流入が話題になっているが、問題自体は2011年の「アラブの春」で各国の政権が揺れたり内戦が生じたりしてすぐに発生しており、2013年頃から激化していた。 そしてこれはシリアから難民が発生しているというだけの問題ではなく、アフガニスタンやアフリカ諸国からの難民・移民が地中海南岸のアラブ諸国に到達して、そこから西欧への渡航を目指すというより大きな問題の一部です。 昨年から今年の初めまでは、むしろサブサハラ・アフリカ諸国や東アフリカからの移民が、モロッコのスペイン領飛び地のセウタとメリリャに侵入しようとする問題に焦点が当たっていた。しかしこれについてはモロッコと西欧諸国の両方の協力による取り締まり・対策強化で一定の沈静化が見られた。しかしこれはモグラ叩きの一部で、今年に入るとリビア内戦の混乱の隙をついて密航業者がリビアに多く現れ、リビアからマルタやイタリアや
はい、先月末にはじめたケインズ「平和の経済的帰結」、終わったぜ。乞食ども、持ってきやがれ。 ケインズ「平和の経済的帰結」(pdf 1.2 Mb, 商業的に出そうなので公開停止) そのときに述べた通り、題名のPeaceは、講和条約のことではあるんだけれど、文中でケインズが、ドイツに対する「戦争による被害と平和による被害」という具合に、戦争と平和を対比させて書いている部分がいくつかあって、それを考えると平和のほうがいいかな、と。 基本的に主張は簡単。 ドイツにすっげえ賠償金を払えって言うけどさ、無理じゃん。 まず、賠償金のうち、即座に50億ドル支払うことになってる → 即座の支払に使える現金とか資源とか、あんたら全部接収してかすめ取ったじゃん。払えないよ。 そして今後ドイツは経済活動を通じて儲けて払えといってる → あんたら炭鉱も奪い、船も奪い、工場も接収し、経済活動するために必要なものを全部
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G7サミット(先進7か国首脳会議)がドイツのバイエルン州エルマウ城で開催された。G7である。よって西側諸国の問題をどうしようか、という話しかしない。となると、ウクライナ問題やギリシア問題である。それに、日米としては中国の海洋侵出を混ぜたり、いやいや生臭い話から離れて現地でうるさい地球温暖化が話題になる。まあ、そういう文脈で日本でも報道されていた。 そういう報道が悪いわけでもない。AFP報道でも概ねそういう方向だった。が、私はちょっと、もにょーんとしていた。オバマ大統領がこのサミットに望んだ思いの重点は、うまく報道されてないんじゃないかと思ったからだった。 関連のNHKニュースはいかにも国際問題の視点ばかりだし、国内大手紙も概ねそんな印象なので、概要としてはそれでもややニュートラル感のあるAFPを引いておく。「G7サミット、ドイツで開幕 ウクライナ情勢でロシアに強硬姿勢」(参照)より。 【6
小説「ブリキの太鼓」などの著作で知られるドイツのノーベル賞作家、ギュンター・グラスさんが13日、独北部リューベックの病院で死去した。87歳だった。ドイツの主要メディアが伝えた。 1927年、現在はポーランド領のグダニスク(旧ダンチヒ)に生まれる。第2次世界大戦で米軍の捕虜となり、戦後は美術を学んだ。59年、3歳で成長が止まった少年の目で風刺的にドイツ現代史を描いた長編「ブリキの太鼓」で反響を呼ぶ。99年にノーベル文学賞を受賞。平和運動や政治活動にもかかわり、イラク戦争に反対した。自伝の中でナチスの親衛隊に所属していたことを告白していた。(ベルリン=玉川透) ◇ 〈作家の池澤夏樹さんの話〉 ギュンター・グラスは社会から距離を置きつつ、ドイツのありようを書き続けてきた。代表作の「ブリキの太鼓」ほど、ナチスの台頭するドイツの雰囲気を正確に、シニカルに書いた小説はない。我々は第2次大戦中の生活につ
エコノミストは演奏家のようなところがある。経済データという譜面に従って奏でなければならないが、曲の解釈がとても大事である。「あなたは、どう弾きたい?」というのが問われるのだ。演奏家と同様、これを明瞭にイメージできるかが、非凡と平凡を分かつように思える。 ……… 2月鉱工業生産について、第一生命の新家義貴さんの分析は、「ネガティブサプライズ、内容も悪い」(3/30)と小気味良かった。反動減は予想されていたし、データ的には、「前月と均せば、緩やかに回復」としてもおかしくないのに、評価は鮮明だ。筆者なんぞは、「悪い数字が出たなぁ」と思いつつも、気力が薄れかかっていて、ビビットに反応できなかったよ。 新家さんは、高めの成長イメージを持ち、そこにデータを位置づけるから、反応できたと思う。新家さんが予測力に優れているのは、潮目を読もうと努力しているからだろう。それには、経済がどういう方向に進んでいるか
El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~2015年1月4日から「Diario de Libros」より改名しました。 メインは本の紹介、あとその他諸々というごっちゃな内容です。 2016年4月13日にタイトル訂正。事務机じゃなくて「事務室」です(泣)。 ここに一冊の本があります。『不撓 日独潜水艦協同訓練時代を偲ぶ』と題された通り、この私家版本は著者の海軍下士官時代を中心にした回想録です。彼は機関兵から、志望だった潜水艦に乗り組んで最終的に機関兵曹長になりました。 そんな彼の乗り組んだ潜水艦の一隻が、ドイツから日本に譲渡されたUボート「Uー511」でした。1941(昭和16)年12月8日と「くしくも日米開戦の日に竣工」(p.84)した本艦は1943(昭和18)年5月にドイツはキール軍港を発ち、当時日本占領下にあったマレー半島ペナンを経て同年8月7日に呉に入港
書影を見て、「ドクター・ハックって、あのハックか」と思わず手に取った。 著者は『満州国皇帝の秘録』『トレイシー−−日本兵捕虜秘密尋問所』そして『四月七日の桜−−戦艦「大和」と伊藤整一の最後』の中田整一氏だ。面白くないわけがない。 1914(大正3)年)11月、日英同盟により第一次世界大戦に連合国側として参戦した日本は、中国におけるドイツ租借地・青島でドイツ軍と戦闘を行う。激戦の末、ドイツ軍ワルデック総督は降伏し、約5000名のドイツ兵が捕虜として日本の収容所に送られた。そのうちのひとつが、千葉県習志野俘虜収容所だ。 習志野収容所長は西郷隆盛の長男であった西郷虎太郎。父の死以降、窮乏を極めていたのを明治天皇の配慮で救われ、ドイツ士官学校に留学、この地位についたのだ。そして、ドイツへの理解が深く、また敗残者の辛さを身に沁みて知った西郷の元で、習志野の収容所は活力が溢れた場所となった。捕虜たちが
1962年10月27日、シチリアのカターニャ空港から1機の双発ジェット機が飛び立った。乗っていたのは、操縦席のベルトゥッツィ機長、タイム・ライフ社ローマ支局長マックヘイル、そしてイタリア炭化水素公社(略称ENI)総裁のエンリコ・マッテイの3名だった。機はミラノの空港に向かって飛んでいた。午後6時45分には着陸態勢に入ったことを、リナーテ管制塔が確認している。だが、彼らがそこに着陸することはなかった。通信が5秒間ほど途絶えた後、機体は突然、空港から10数キロの湿地帯に墜落したからだ。乗っていた3名は全員死亡した。 ENI総裁エンリコ・マッテイは、立志伝中の人物だった(以下、この事件を詳細に調べたジャーナリスト、E・ビアージ著「新イタリア事情 上 (朝日選書 226)」にもとづいて書く)。ENIは石油精製、パイプライン、化学など80もの企業群を傘下に置く、イタリアの巨大国策企業である。マッテイ
Webで公開されているメディアの記事のタイトルと内容の一部を取得し、まとめて表示する「Googleニュース」など「ニュースアグリゲーター」と呼ばれるサービスは、購読者の利便性が高い一方、コンテンツへのフリーライドが問題になることもあります。そこでドイツの新聞社のWebサイトがGoogleニュースへの掲載をブロックしたのですが、閲覧者数が大変なことになったということです。 ヨーロッパではニュースアグリゲーターのコンテンツ利用に課金する「Google税」の導入が議論されています。 ドイツでは昨年末、Googleニュースへの掲載はオプトイン式とし、メディア側の許可があって初めて行える方式となりました。そこで約200のメディアがGoogleニュースから去ることになったわけですが、巨大日刊紙「bild」などを擁する大手メディアであるアクセル・スプリンガー社は、Googleニュースに掲載を再開すること
2014年は第一次世界大戦の勃発から100年、そしてスウェーデンの外交政策にとって2014年は1814年以来200年にわたって戦争をしていないことになる、節目の年である。 トルストイがクリミア戦争での従軍経験を題材にした短編小説『セヴァストーポリ』は1854年の同地を舞台に物語が始まる。それから160年経ったいま、クリミアの地をめぐって、自国の安全保障か、それとも国際貢献かを天秤にかける議論がスウェーデンで沸き起こり、スウェーデン外交が大きく揺れている。 スウェーデンの外交といえば、長らく「中立政策」の代名詞として語られてきた。しかし確固たる理念があって「中立」が導入されたものではなく、歴史の流れの中で国是として掲げられてきたものにすぎない。 スウェーデンの外交に初めて「中立」という概念が導入されたのは、1834年にスウェーデン王カール14世ヨーハン(Karl XIV Johan)が将来の
ピンズラー方式のドイツ語学習は第一段階を終えて第二段階に入ったらつまづいた。文法が理屈として理解できても、あの枠構造が感覚的にしっくりこない。 ドイツ語の発音はフランス語や中国語にくらべればはるかに楽なのにナチュラルスピードの会話になると聞き取りにくい。英国英語と似た感じがして混乱するからだろうか。まあ、いいけど。 で、つまづいて、このところ、ようやく、少し進み出した。というか、枠構造に馴染んできた。 思ったのだけど、気楽にドイツ語を学ぶつもりでいたが、やっぱ、ある程度没頭というか、語学というのはモーティヴェーションを上げないと難しいんじゃないか。 そうこうして関連知識とかに関心をもっていくうち、そうだ、「エーデルワイス」だと思ったのである。 「エーデルワイス」。歌のほうである。「サウンド・オブ・ミュージック」に出てくるあの歌である。 あれ、元歌はドイツ語じゃないの。ドイツ語で歌えたらいい
By [martin] 第二次世界大戦から最大規模の上陸作戦として知られる「ノルマンディ上陸作戦」は、ナチス・ドイツ軍の占領下にあったヨーロッパを制圧する転機となった戦いです。そんなノルマンディ作戦で連合軍を勝利に導くきっかけとなったのは、イギリス側の二重スパイとして活躍した「ガルボ」と呼ばれる1人のスペイン人。そんな彼が一体どのようにしてナチス・ドイツを欺くことができたのかが記されています。 The Greatest Double Agent in History http://priceonomics.com/the-greatest-double-agent-in-history/ 元養鶏農家でスペイン・マドリッドで1つ星ホテルを運営していたスペイン人のフアン・プホル・ガルシアは、「ガルボ」のコードネームを持つ、第二次世界大戦において重要な役割を果たしたナチス・ドイツを欺くイギリス側
Paul Krugman, “An Innovation Lesson From Germany: Less Disruption, More Quality,” Krugman & Co., June 20, 2014. [“Creative Destruction Yada Yada,” June 16, 2014; “German Labor Costs,” June 17, 2014] 創造的破壊についてドイツが教えてくれること:破壊はやめて高品質を by ポール・クルーグマン John W. Adkisson/The New York Times Syndicate ジル・ルポアが『ニューヨーカー』誌にすばらしい記事を書いてる.ビジネスでも他のどんなことでも「破壊的イノベーション」こそが成功の秘訣だというインチキ話を,ルポアは反駁している.たんにあの手の話を小馬鹿にしてすませずに
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