【カイロ=奥田哲平】シリア内戦で反体制派の支配地域が多く残る北西部イドリブ県で、アサド政権軍やロシア軍による攻勢が強まっている。中でも、四月だけで医療機関六カ所が攻撃を受け、負傷者の治療や住民の健康状態に深刻な影響を及ぼしている。医療関係者は、廃虚となった北部アレッポの悲劇が再現されるのを恐れている。 シリア人権監視団(ロンドン)のラミ・アブドルラフマン所長によると、三月は約百七十回だったイドリブ県への空爆は、四月に入って約七百回に増えた。少なくとも市民二百六十一人が死亡し、そのうち九十二人は子どもだった。 イドリブ県保健局によると、県内十六病院のうち六カ所が四月に空爆を受けて建物や医療機器が壊され、多くが閉鎖状態に陥っている。二十七日に六人が死亡した空爆では、救急救命室の酸素発生装置が壊れたため乳児二人も犠牲になった。モンゼル・ハリール局長は「生活に不可欠な病院を標的にすることで、政権側