タグ

ブックマーク / honz.jp (18)

  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
    weissbier
    weissbier 2020/01/05
  • 『捨てられない・片付けられない病 ホーダー』   汚部屋の私は病気なの? - HONZ

    最初にお断りしておく。このレビューを読んで多くの人が「自分のことか?」と怯えるだろう。まだ見世物的に報じられる日のゴミ屋敷だが、「強迫性貯蔵症」(ホーディング)の実態は明らかにされていない。自分ひとりで悩んでいる人も多いかもしれない。事実、自分に置き換えると、少々悩ましいことでもある。 仕事柄、身の回りにを置くことは多い。しかしふと気が付くと、仕事場のパソコンまわりに大量のが積み上がっている。ざっと数えても百冊近くある。年末の大掃除でだいぶ古屋に持っていたのだが、いつの間にこんなに増えてしまうのだろう。毎日の習慣で、朝刊の広告で新刊をチェックし、買い物に出るときに書店で手に入れる。そんなことが続いているのだから当たり前といえば当たり前のことだ。 世間で“シンプルライフ”や“断捨離”が持てはやされるのと対照的に「ゴミ屋敷」や「汚部屋」が問題視されている。なんでもかんでも溜め込み、人の

    『捨てられない・片付けられない病 ホーダー』   汚部屋の私は病気なの? - HONZ
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第3回:かわいくて優雅な「オマンコ」 - HONZ

    憶良は、わが子を得て、心弾む幸福感に包まれます。およそ世の中に、この幸福に共感を覚えない親があるでしょうか。憶良の心情は、古今を通じて世界の親の心情でもあったでしょう。 こんな思い出があります。大学3回生、1970年の夏のことでした。郷里の友人大阪万博を見にいくため茨木の駅で降り、万博会場行きのバスに乗って座席に座りました。やがてバスは混んでゆき寿司詰めの状態になりました。私の目の前に、父親に連れられて乗ってきた幼い女の子が立ちました。私は即座に、自分の席を女の子に譲ってあげました。そのときです、30代半ばの父親がさっと私に向き直り、「まことに、ありがとうございます!」と、深々と頭を垂れたのです。私は何ごとかと、驚きました。こんな大人の男性が、20歳の青二才たる私の如きにそんな礼儀正しい感謝の態度をとってくれるとは、啞然とするほどの衝撃でした。父親というものは、わが娘のためなら、こんなこ

    【連載】『全国マン・チン分布考』第3回:かわいくて優雅な「オマンコ」 - HONZ
  • 『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ

    一般に、は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 事

    『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ
    weissbier
    weissbier 2018/09/07
    この事件をモチーフにした映画あったよな確か
  • 『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』そこには、最低限の秩序だけがあった - HONZ

    「出勤日も、出勤・退勤時間も自由」 「欠勤の連絡をしなくてよい」 「嫌いな作業はやらなくてよい。好きな作業だけやればよい」 著者の武藤北斗さんが経営している水産加工会社のルールである。こんな職場、当にあるの? のっけから驚かされる。理想主義も行き過ぎて、意識高い系の実験的な試みはいいけれども「生き生き働く笑顔」のうらになにか無理が潜んでいるんじゃ…。などと恐る恐る読み始めたのだが。 とにかく徹底している。その日出勤するかしないかは各人の自由なのだが、行くか行かないかを連絡する必要すらないのだという。というか連絡は「禁止」なのだ。なぜなら「好きな日に休んでいいよ」といいながら「だけど連絡はしてください」だの「事前に報告してください」だのと言えばやはり管理されているように感じるだろうし、無言のプレッシャーをかけることもできることになってしまって、ルールが形骸化するからだ。たしかに「うちは福利

    『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』そこには、最低限の秩序だけがあった - HONZ
  • 『文春にバレない密会の方法』サラリーマンの護身術 - HONZ

    大型書店のレジ前に書が置かれており、不覚にも手に取ってしまった。児童書を買うのに並んでいたはずなのだが。 「文春にバレない」。政治家も芸能人もアスリートも、ことごとくバレてしまっている今、「文春にバレない」は「誰にも知られない」と同義だろう。知りたいではないか、そんな術。 「いや、あんた、一般人だから別に文春に狙われないだろ」と多くの人は突っ込むだろうが、人には秘密の一つや二つはある。男女の密会だけでなく、友人同士や仕事の関係でも、人目にあまりつきたくない状況ってのはあるはずだ。現代人が、いつ、どこで必要になるかわからないのが密会術だ。だからこそ、レジ前に陳列されていたのだろう。 目次からして、実用的だ。「尾行をまくなら奥渋谷」、「途中でタクシー移動を挟め」。すでに探偵や記者につけられている前提で、どんな重要人物だよと思われがちだが、浮気調査はもちろん、最近では、企業内でも敵対する派閥を

    『文春にバレない密会の方法』サラリーマンの護身術 - HONZ
    weissbier
    weissbier 2017/07/19
  • ダマされても憎めない『ananの嘘』 - HONZ

    雑誌はその時代のトレンド、社会の流れを掴むもの。だから1冊の雑誌の来歴をたどれば、自ずと、時代ごとの社会の変遷を読み取ることができる…。 そんな普段とは異なる「雑誌の楽しみ方」をみせてくれるのが書『ananの嘘』。創刊から45年を迎えた雑誌『anan』(以下、アンアン)の2000号に及ぶ誌面を、『負け犬の遠吠え』他の著者である酒井順子氏が分析した一冊である。 やけに過激なウーマンリブ時代のアンアン アンアンが創刊されたのは1970年。当時はまだ「ちょっと働いたら寿退社」という道が一般的だったものの、恋愛結婚する人の割合がお見合い結婚する人の割合を初めて上回り、「自由に恋愛できる時代」に突入したのが、この頃。同時に、ウーマンリブの潮流も世界的に生まれ、「女性はこうあるべき」という規範が大幅に揺らぎはじめていた。 そんな時代に誕生したアンアンは、やけに過激。おしゃれ有名人のヌードの家族写真を

    ダマされても憎めない『ananの嘘』 - HONZ
    weissbier
    weissbier 2017/07/19
  • 『失われた宗教を生きる人々 中東の秘教を求めて』 - HONZ

    書『Heirs to Forgotten Kingdoms』は、アラビア語とペルシア語を流暢に操り、イギリスおよび国連の外交官を務めた経験をもつ著者ジェラード・ラッセルが、中東の宗教的少数派のコミュニティを訪ねて旅し、現地の言葉で丁寧に話を聞きとって、現代に生きるその姿をまとめあげたものである。 1997年、駆け出しの外交官だった著者は、エジプトに配属されてアラビア語を学んでいた。著者はカトリック教徒で、祈る時にもアラビア語を使えば上達するのではないかと思い、エジプトのキリスト教会であるコプト教会に通い始めた。これが著者と宗教的少数派の初めての出会いだったという。聖テレーズ教会というその教会は、キリスト教徒だけでなく、地元のユダヤ人やムスリムからも愛されていた。そこには、イスラーム教と他の宗教との確かな共存の形があった。 中東といえばイスラーム教一色だと思いがちだが、実は中東は多様な宗教

    『失われた宗教を生きる人々 中東の秘教を求めて』 - HONZ
  • 『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』ブルマー教授が出来るまで - HONZ

    『ブルマーの謎』は、最近ではすっかり見ることもなくなった女子体操服の「ぴったりブルマー(密着型ブルマー)」をテーマにした一冊である。長年研究を続けた社会学者が手掛けており、ブルマー研究の決定版とも言える内容だ。しかしこの画期的な研究が始まったのも、ゼミ生たちとの苦し紛れのやり取りから生まれた「偶然の産物」であったという。当時、山ゼミに所属していた小松聰子さんに、ブルマー教授誕生までの秘話を寄稿いただいた。(HONZ編集部) 今、私の中では嫉妬の炎が燃えまくっている 。そう、我らがブルマー教授こと山先生がとうとうブルマーを出されたのだ。これが身悶えずにいられようか。 なぜ、私がこんなにもムズムズとしているのか、それを説明するためには15年以上も前に時計の針を戻さなくてはならない。私は書の著者、山雄二教授のゼミに所属する大学3回生であった。卒業グループ研究のテーマを決める打ち合わせの

    『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』ブルマー教授が出来るまで - HONZ
  • 『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』 99.9%という有罪率の壁を乗り越えた刑事裁判 - HONZ

    10年ほど前に、業務上の過失により患者(妊産婦)を死亡させたとして逮捕された、産科医をめぐる刑事裁判「福島大野病院裁判」について、ご記憶の方も多いだろう。テレビカメラの前で医師が逮捕されるというショッキングな出来事から始まり、娘を亡くした父親視点のドキュメンタリー番組が作られるなど、報道は過熱した。裁判の結果、99%を超える刑事事件の有罪率の壁を乗り越え、医師は無罪となった。このは、その弁護にあたった弁護士がまとめた記録である。 書は、徹頭徹尾、以下の立場が貫かれている。 弁護団は、決めていた。何があろうと、患者さん家族の如何なる言葉にも反論しない。そのご心中を察すれば、まして、生まれた時に、その母はいない子のことを思うからである。 裁判は闘いである。しかし、ご遺族と闘うのではない。検察との闘いでしかない。~書より 判決後、医師は「患者さんの期待や要望に応えることが出来なかったことは

    『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』 99.9%という有罪率の壁を乗り越えた刑事裁判 - HONZ
    weissbier
    weissbier 2016/10/11
  • 『性倒錯者 だれもが秘める愛の逸脱』無限に広がる、奥深き性愛の世界 - HONZ

    冒頭の一文から引き込まれる。「あなたは性的に逸脱している。まったくの倒錯者だ」ときたものだ。 そして息もつかせぬ間に「手始めに僕から行こう。」と、自身の性遍歴を語り始める。思春期の頃にネアンデルタール人の裸に興奮を憶えたこと、高校生の時に想いを寄せていた男子が捨てたコーラの空き缶に興奮したこと、初体験の相手が足フェチのゲイであったこと…。 著者が、前著『ヒトはなぜ神を信じるのか』のジェシー・べリングであることを知っている人でなくても、驚きのエピソードの数々だろう。そして『ヰタ・セクスアリス』のような告白の後は、無限の領域に広がる「性愛」の世界を限界まで見せてくれる。 書『性倒錯者 だれもが秘める愛の逸脱』はヒトのセクシュアリティについていま開花しつつある新たな科学と、もっとも奇妙な形のセクシュアリティのケーススタディーを重ねあわせることによって、「性倒錯者」という存在の核心に迫ろうと試み

    『性倒錯者 だれもが秘める愛の逸脱』無限に広がる、奥深き性愛の世界 - HONZ
    weissbier
    weissbier 2016/01/15
  • 『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』 20世紀最悪のスパイは友情を武器にした - HONZ

    キム・フィルビーはすべてを手にしていた。英国上流階級出身、ケンブリッジ大学卒業、愛する子と多くの気が置けない友人仕事においても、上流階級出身の特別なコネクションを持つ者だけが所属できる英国スパイ組織MI6の出世の階段を誰よりも早く駆け上っていたのだから、足りないものを探すほうが難しい。1940年に28歳でMI6入りした彼は、イスタンブール勤務などを経て、40歳を前にMI6のワシントン支局長に就任し、多くの同僚が未来の長官だと信じていた。 フィルビーの特異なところは、並外れた身体能力、多言語を操る頭脳や暗殺スキルなどのスパイ技術の高さで出世競争を勝ち抜いたわけではないというところにある。彼を傑出したスパイにしたのは、“人間としての魅力”である。ひとたびフィルビーと言葉を交わせば、誰もが彼の友人になりたがった。当時の彼を知る人は次のように語っている。 彼は、崇拝者を勝ち取る類の人間だった。

    『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』 20世紀最悪のスパイは友情を武器にした - HONZ
    weissbier
    weissbier 2015/05/22
  • 『コカイン ゼロゼロゼロ』あまりにも凄惨な現実 - HONZ

    コカインという白い薬物をめぐる書は凄惨な事件から始まる。それはキキの物語だ。 キキの物語を語るには、まずこの男のことを知らなければならない。ミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルド、通称〈エル・バドリーノ〉はメキシコで「コカインの帝王」と崇められた男だ。今も〈エル・バドリーノ〉の時代もコカインの一大生産地はコロンビアだ。しかし、コカインの大量消費国アメリカにコロンビアは遠すぎる。また当時、コロンビア国内ではカリ・カルテルとメデジン・カルテルがコカインの密売ルートの支配をかけて抗争を繰り返し、力を失いかけていた。さらにメデジンの伝説的な首領パブロ・エスコバルは米連邦捜査局(FBI)の買収に手間取り、膨大な量のコカインを摘発され、窮地に立たされていた。 エスコバルは、アメリカとの国境線を支配する〈エル・パドリーノ〉に助けを求める。二人は意気投合し、共にビジネスを始める。警察官から転身し、既

    『コカイン ゼロゼロゼロ』あまりにも凄惨な現実 - HONZ
    weissbier
    weissbier 2015/04/08
  • 『美貌格差』生まれつき不平等の経済学 - HONZ

    現代社会において、親の年収、生まれ持っての美貌、また育つ環境など人の努力では埋められない格差は確実に存在する。 それでも生き方の自由は保持されており、美貌を持つ人がさらに戦略を持って生きるのも自由だし、反対に美貌を持たざる人が徒手空拳的に人生に臨もうが、生き方自体は(程度によるが)否定はされず自由に選択できるといえる。 よく「ブサイクは意外と性格が悪いよ」「美人のほうが素直でいい子が多い」などという論議があるが、これは正義とか道徳的な話ではなく、確実なのは人は誰しも容姿について強い興味があり、書ではそれらが引き起こす格差が存在するという事実を論じている。 書では客観性をもって人の容姿・美形がどのように社会のステイタスに影響を及ぼし、そのお得度合はどの程度なのかを科学的に測定している。例えばCEOの容姿は企業業績に影響するのか?など。私達が生きる社会において容姿というのは、給料から就職

    『美貌格差』生まれつき不平等の経済学 - HONZ
  • 『ぼくは物覚えが悪い』海馬を失った男は、永遠に続く30秒を生きた - HONZ

    今年も残すところあと1ヶ月となり、年忘れという言葉も聞こえてきた。皆さんにとって2014年はどのような年であっただろうか?そして来たる2015年のことを考えた時に、どのような感情が沸き上がってくるだろうか? 年の瀬ともなると、私たちは過去の出来事を頭の中で再現し、その情動を元に未来へ思いを馳せる。年を忘れるというくらいだから、辛かったことや不安な出来事を思い出す方も多いのかもしれない。いずれにせよ私たちは「今」という瞬間を疎かにするくらい、記憶というものに縛られながら生きている。それならば未来もなく過去もなく、現在進行形しか存在しない世界に行けば、不安を取り除くことは出来るのだろうか。 1953年、一人の男がてんかん治療のための脳手術を行った。左右の内側側頭葉を摘出するという実験的な手術であったものの、発作は無事に抑えられるようになる。しかしこの手術は、関わった全ての人にとって決して忘れら

    『ぼくは物覚えが悪い』海馬を失った男は、永遠に続く30秒を生きた - HONZ
    weissbier
    weissbier 2014/12/01
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    シリアスとギャグのバランスが絶妙な『銀魂』面白さと入りやすさはど... 2018年09月27日 ギャグが好きな人、思いっきり笑いたい人は、シリアス長編エピソードの間に挟まれるギャグ編がオススメ。私は読者投票によるキャラクターランキングの結果発表後、ランキング結果を変えようとするキャラクター...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
    weissbier
    weissbier 2014/10/20
  • 『トロイアの真実』 シュリーマンは何を見つけたのか - HONZ

    一冊のは、人の一生を変えてしまうほどの力を持つことがある。8歳のときに父親からプレゼントされた『子どものための世界の歴史』は、ハインリッヒ・シュリーマンの人生をハリウッド映画よりも劇的なものに変えてしまうこととなる。幼いシュリーマンは、そのに描かれていたトロイアが炎上する挿絵の虜になり、いつかその場を訪れることを誓った。ホメロスの『イリアス』にも描かれるトロイア戦争は空想の産物であると父親にいくらいわれても、シュリーマンは聞く耳を持たず、その争いを“史実”として信じていたという。 ビジネスマンとして大成功したシュリーマンは、子どもの頃の夢を忘れることはなかった。40歳を超えたシュリーマンは蓄えた資金を携えトルコへと発掘に向かい、気の遠くなるような作業の末、ついに夢物語と思われたトロイアを発見したのである。ロマンに満ちた彼の生きざまを知ったフロイトは、「シュリーマンこそもっとも羨むべき人

    『トロイアの真実』 シュリーマンは何を見つけたのか - HONZ
    weissbier
    weissbier 2014/04/23
  • 『FBI秘録』 監視された安全かリスクある自由か  - HONZ

    FBIとはFederal Bureau of Investigationの略称であり、日語では連邦捜査局となる。その名前や映画で伝えられるイメージから、FBIをアメリカの州をまたがる凶悪犯罪を担当する警察、と考えている人もいるだろう。ところが、FBIの主たる目的はその誕生から今日まで、秘密諜報活動にあると著者はいう。CIAとは異なり、FBIには犯罪を取り締まる法執行機関としての役割もあるが、多くのFBI捜査官は、不法侵入、盗聴や脅迫という、スパイ活動に従事してきた。 もちろん、盗聴に代表されるこれらの行為は違法である。裁判所やFBIを管轄する司法省は幾度となくその行動にブレーキをかけようとしたが、FBIを止めることはできなかった。法の支配の外側を自由に動き回るその力を利用しようとする者が、後を絶たなかったからだ。そのため、「電話傍受、盗み聞き、侵入は1930年代以降、FBIの諜報作戦にお

    『FBI秘録』 監視された安全かリスクある自由か  - HONZ
    weissbier
    weissbier 2014/02/24
  • 1