スウェーデン国籍の父親が中国で拘束された。娘は国際社会に救出を手助けしてほしいと訴えた。そんな娘にスウェーデンの駐中国大使が中国側関係者2人を引き合わせ、3人で娘に「発信をやめよ」と迫った。“中国寄り”ともとれる大使の行動は、果たして違法なのか――。前代未聞のこの刑事裁判で7月10日、大使に無罪判決が言い渡された。拘束された父親は、中国批判の本を売ってきた香港「銅鑼湾書店」の親会社の株主でスウェーデン国籍の桂民海氏だっただけに裁判所の判断が注目を集めていた。 ◇スウェーデン大使による呼び出し 銅鑼湾書店をめぐり、桂氏を含む関係者5人が2015年に次々と消息を絶ち、のちに中国当局に拘束されたことがわかった。中国側は「5人が自発的に中国に入った」と主張していた。書店は翌年、閉店に追い込まれた。 中国国営メディアは、桂氏が拘束中に「交通事故で人を死なせ、さらに違法書籍の密輸に関わった」などと語っ