僕の描き文字 作者: 平野甲賀出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2007/05/19メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (18件) を見る平野甲賀さんの『僕の描き文字』を読んだ。これまで数千冊の装丁を手がけてきた「描き文字師」平野甲賀さんが1970年代から2000年代にかけてさまざまな本で綴り、語り、対談してきた文章を詰め込んだ本だ。はっきりいって、いろんな文章の寄せ集めではある。しかしだからこそ、「文字」や「装丁」というものを多角的に考えられる一冊になっている。実に面白かった。 現在、わたしの関わっている雑誌はビジュアル先行のいわゆる「先割」のものが多いのだが、かつては「後割」、つまりテキストありきで誌面のレイアウトが組まれていく方法が主流だった、と平野さんは言う*1。そうしたなかでデザインを手がけてきた平野さんにとって、「テキスト」というものは「侵されざる