ヨーロッパ中世後期、フランスを主戦場にして戦われた百年戦争(1337~1453)について、近年の研究動向を充分に盛り込んでその全体像を描く、一般向けの概説書である。2020年3月17日発売。新書サイズで読める百年戦争の通史として実にわかりやすく要点が抑えられていて、今後、長く読み継がれる定番になるだろう。 ヨーロッパ史上の戦争としてはジャンヌ・ダルクの活躍もあって「百年戦争」はおそらく日本で最も知名度がある出来事だろう。著者は「しかし、彼女(引用者注:ジャンヌ・ダルク)が活躍した戦争の名をすぐに答えることのできる者は、どれほどいるだろうか」(はじめに i)と危惧するが、大丈夫。映画からアニメ・ゲームまでジャンヌ・ダルクの知名度は過去最高に高まっているし、「百年戦争」の響きのキャッチーさもあって「百年戦争」自体の知名度も抜群だ。アストラギウス銀河を二分した方で知った人は多いはず(自己紹介)