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書評に関するyosi0605のブックマーク (82)

  • 『少年ゲリラ兵の告白 ​陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊』 - HONZ

    母は沖縄戦の体験者だった。このことが、ある意味ライフワークのように僕が沖縄にこだわる理由になったのだが、実のところ、母がその沖縄戦でどのような体験をしたのか、よくわからないままでいる。 沖縄戦について問うと、母は口を固く閉ざしてしまうからである。住人の4人に1人が亡くなった史上類例のない地上戦が展開された島には、その戦について語らない人たちが多い。「語らない」あるいは「語れない」理由はいうまでもない。戦がまだ夢に現れるほど可視的な過去であるために、心の傷が癒えないからである。 もう少し母の話を続けたい。米軍が沖縄島読谷村に上陸したのは1945年4月1日。来ならその年、彼女は沖縄県立第一高等女学校に入学する予定だったが、戦時教育措置によってすでに授業は停止され、上級生たちはほぼ1週間前の3月23日、南風原陸軍病院に看護要員として動員されていた。 いわゆる「ひめゆり学徒隊」である。学徒隊の

    『少年ゲリラ兵の告白 ​陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊』 - HONZ
  • 『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』2019年のNo1新書 - HONZ

    書が2019年ベスト新書になると思う。第二次世界大戦は複数の戦争の集合体だった。日米の太平洋戦争はいうまでもなく、おおまかに分けるとドイツのヨーロッパ侵攻戦争、イタリアからはじまる北アフリカ戦争、そして書のドイツ・ソ連戦争だ。 書によればこの戦争でのソ連の死亡者(軍人+市民)は2700万人。ドイツは独ソ戦以外の戦争も含めて最大800万人。日は最大310万人だったという。 これまでにもイアン・カーショーの『ヒトラー』やアントニー・ヴィーヴァーの各著作などの文献や、NETFLIXNHKBSのドキュメンタリ映像を見てきたのだが、このほど独ソ戦についてコンパクトにまとめられているはない。戦史だけでなく、第3章の「絶滅戦争」では独裁者と権限が分散したナチス官僚機構、ヒトラーに対する国民の支持の源泉などについて極めてコンパクトに解説されている。 ちなみにそのことを含めてヒトラーとナチスが

    『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』2019年のNo1新書 - HONZ
  • [書評]『戦争の大問題』 - 木村剛久|論座アーカイブ

    戦争をしてはいけない 戦争について考えなければならない。 できることなら考えたくない問題かもしれない。だが、連日のように北朝鮮のミサイル脅威や中国の海洋進出が報じられ、これにたいし集団的自衛権や「共謀罪」の適用、憲法改正への準備が着々と進行するなかで、その行き着く先の最悪の事態、すなわち戦争の悪夢が頭をよぎるのは、いたしかたないことだ。 『戦争の大問題——それでも戦争を選ぶのか。』(丹羽宇一郎 著 東洋経済新報社) 書は不安や恐怖、怒りといった感情をひとまずおいて、戦争という大問題を冷静に考えようとするものだ。最初に「戦争を知らずに戦争して他国を懲らしめよという意見はまったく尊重に値しない」と著者は宣言する。 著者は名うての国際ビジネスマンとして伊藤忠商事を率い、2010年から12年まで中国大使を務めた人物である。その丹羽氏が日の平和と防衛に、いま大きな危惧をいだいている。 冒頭にこん

    [書評]『戦争の大問題』 - 木村剛久|論座アーカイブ
  • [書評]『忘れられた皇軍兵士たち』 - 西 浩孝|論座アーカイブ

    「皇軍」は人間をどのように扱ったのか 樋口健二の著書に、『売れない写真家になるには』(八月書館、1983年)というのがある。四日市公害、旧日軍毒ガス製造工廠・大久野島(広島県竹原市)、そして原発被曝労働者。これらはそれぞれ『四日市』(六月社書房、1972年)、『毒ガス島――大久野島毒ガス棄民の戦後』(三一書房、1983年)、『原発 1973年-1995年』(同、1996年)などの写真集にまとめられているが、まこと「売れない」テーマで撮り続け、写真家としてまた生活者として、辛酸を嘗めてきたと言ってよいだろう。 しかし、日列島を歩き回り、長い時間をかけて社会の暗部を「見て、見て、見続ける」ことによって、樋口健二の仕事はまぎれもなく歴史に残るものになった。書もそのひとつである。 『忘れられた皇軍兵士たち』(樋口健二 著・写真 こぶし書房) 日がGNP世界第2位の華々しい経済成長を遂げつつ

    [書評]『忘れられた皇軍兵士たち』 - 西 浩孝|論座アーカイブ
  • 『無冠、されど至強』影のナンバーワンと呼ばれたサッカー集団 - HONZ

    著者は『オシムの言葉』をはじめとしてサッカーを題材にしたノンフィクションを手がけてきた。サッカーを描きながらも大半の作品に通底するのは、政治や組織に翻弄された個人がその矛盾に対峙する側面を切り取る姿勢だ。 大文字の歴史で語られることは少ないが、戦後サッカー史で在日朝鮮人のチームは「影の最強チーム」と称された。 例えば社会人などで結成された「在日朝鮮蹴球団」は1961年に結成され、1980年代まで日のトップチームを相手に9割6分の勝率を残している。時代も舞台も違うが、レアルマドリードがリーガ・エスパニョーラで同チームとして、史上最高勝率を誇った15ー16シーズンでさえ8割5分である。 まぎれもなく日に存在する「最強チーム」であったが、「影」であったのは、公式戦への出場を制限されていたからだ。トップチームだけでなく、そこに多くの選手を輩出した東京朝鮮中高級学校のサッカー部もながらく高校サッ

    『無冠、されど至強』影のナンバーワンと呼ばれたサッカー集団 - HONZ
  • 『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』 - HONZ

    何という人生の数々だろうか――。 書を読みながら、思わず天を仰ぎたくなるように、何度もそう感じた。 著者の城戸久枝さんが「あの戦争」と呼ぶ70年前の時代の混乱の中で、祖国を自らの意志によって選ばなければならなかった6人の体験が、丁寧な聞き取りによって描かれていく。 冒頭で滔々と語られる小林栄一氏の半生を読み始めたときから、私はその「語り」の重みに一気に引き込まれた。彼は満州への開拓団に参加した両親のもとに生まれ、終戦時のソ連侵攻からの逃避行の最中に家族と生き別れたという。弟とは別々の中国人に引き取られ、7回も家をたらい回しにされる。差別的な扱いを受けて育ちながら、ほぼ独力で人生を切り拓き、日への帰国を果たす。 あるいは、同じく開拓団の1人として大陸に渡った富満ていこさんもまた、15歳でたった1人、中国に取り残される。彼女の語る敗戦後の逃避行は、自らの子供を親が手にかける光景が繰り広げら

    『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』 - HONZ
  • 書評・最新書評 : 特高と國體の下で―離散、特高警察、そして内戦 [著]孫栄健 - 保阪正康(ノンフィクション作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■拷問受けた「在日」の心象を描く 1918年2月に朝鮮の慶尚南道に生まれた朴庸徳の歩みを在日3世の著者が追跡調査する。朴は7歳で家族と共に来日、飯場を転々として小学校も12回転校しながら日社会に身を置く。最下層の仕事に携わりながら、朝鮮人仲間との交流によって民族意識に目ざめていく。 堺市に住みつき、やがて東京に出て、向学心と仕事への意欲を満たそうとする。人間として知への渇きを抑えられない、同時に母国が蹂躙(じゅうりん)される様にがまんがならない。勉強会、労働学校などでの学びによって母国を日の隷属化から引きはなすこと、それが人生の目標にもなる。36年秋に堺で逮捕された仲間との葉書(はがき)から不穏な計画を立てていると疑われ、東京で逮捕される。 こうした朴の体験を著者がすべて聞きとり、さらに特高関係の記録文書を丁寧に集めてその実態を再現する。特高文書の記述の詳細さに驚かされる。著者の感性は

    書評・最新書評 : 特高と國體の下で―離散、特高警察、そして内戦 [著]孫栄健 - 保阪正康(ノンフィクション作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • 「天皇」も「文学」も「お気持ち」化する。あまりに”感情化する”日本の社会ってどういう状態? | ダ・ヴィンチWeb

    『感情化する社会』(大塚英志/太田出版) 2016年8月、天皇が生前退位について「お気持ち」を表明した。それに対する国民の反応は圧倒的な「共感」であり、同時期に行われた各世論調査でもそう結果が出ている。だが、このような「国民」の反応は図らずも書の主題である「感情」という問題を明確化した出来事であり、「感情化」と書が便宜上呼ぶ事態が天皇制に及んだのである、という指摘から『感情化する社会』(大塚英志/太田出版)は始まる。 あえて書のいう「感情化」の説明を外して、著者がここで何を問題としているのかを見ていこう。 天皇とは何か、それは憲法で定められている。現行憲法は天皇の政治介入を禁じており、「国民の統合」、つまり社会なりパブリックなものの「象徴」として天皇を定義した。いわば天皇を民主主義の装置としたのである。 天皇が憲法の定めた「国民の統合」の象徴として「機能」しようとすれば、政治的言動を

    「天皇」も「文学」も「お気持ち」化する。あまりに”感情化する”日本の社会ってどういう状態? | ダ・ヴィンチWeb
  • 船戸与一『満州国演義』全9巻を読了 - kojitakenの日記

    今年4月に新潮文庫版で読み始めた船戸与一(1944-2015)の遺作となった長編『満州国演義』全9巻を読み終えた。4月、5月に各1冊、6月に3冊、7月に2冊、8月に1冊と読み進み、最後の第9巻は8月30日から今日9月3日の未明にかけて読んだ。原稿7500枚、単行刊行当時の頁数にして4500頁(文庫版では5000頁以上)に及ぶ大作だ。これを、2009年に肺癌で余命1年の宣告を受けた船戸与一がその5年後の2014年秋に完結させた。第9巻の単行は2015年2月に出版され、著者はその2か月後の同年4月22日に肺癌でこの世を去った。 南冥の雫 満州国演義八 (新潮文庫) 作者: 船戸与一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/06/26メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 残夢の骸 満州国演義九 (新潮文庫) 作者: 船戸与一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/

    船戸与一『満州国演義』全9巻を読了 - kojitakenの日記
  • 連載・特集:どうしん電子版(北海道新聞)

  • LOVE PIECE CLUB - 打越さく良 - 歴史修正主義にのみこまれる危機に瀕している

  • 狩りの時代 津島佑子 著   | レビュー | Book Bang -ブックバン-

  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    不倫SF漫画の結末はハッピー?バッド?『あげくの果てのカノン』米... 2018年11月17日 2018年7月23日(月)漫画『あげくの果てのカノン』完結記念イベント「ハッピーエンド(もしくは地獄のはじまり)の作り方」が開催されました。  イベントに登壇されたのは『あげくの果てのカノン』作...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • BLOGOS サービス終了のお知らせ

    平素は株式会社ライブドアのサービスを ご利用いただきありがとうございます。 提言型ニュースサイト「BLOGOS」は、 2022年5月31日をもちまして、 サービスの提供を終了いたしました。 一部のオリジナル記事につきましては、 livedoorニュース内の 「BLOGOSの記事一覧」からご覧いただけます。 長らくご利用いただき、ありがとうございました。 サービス終了に関するお問い合わせは、 下記までお願いいたします。 お問い合わせ ※カテゴリは、「その他のお問い合わせ」を選択して下さい。

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  • 『本当はひどかった昔の日本 古典文学で知るしたたかな日本人 』文庫解説 by 清水 義範 - HONZ

    私は、大塚ひかりさんには恩を受けている。大塚さんの仕事の中に、ひとりで全訳をした『源氏物語』(ちくま文庫)があるのだが、そののおかげで私は初めて『源氏物語』の全巻を読み通すことができたのだ。 それより前には、いろんな作家の現代語訳で挑戦したのに、ついにすべてを読み通すことができなかった。谷崎潤一郎訳では、全10巻のうち第1巻(「若紫」まで)しか読めなかったし、その後、円地文子訳でも、瀬戸内寂聴訳でも読もうとしたのだが、半分くらいまでで挫折してしまっていたのだ。『源氏物語』を通読するのは私には無理なのかと思ったくらいだ。 ところが、年を取って図々しくなっている私は、よくわかっているような顔をして『源氏物語』について、解説するようにしゃべったりしていた。あの物語の中のヒロインたち何人かを題材にして大いにパロディ化してみた『読み違え源氏物語』(文藝春秋)という短編集まで出しているのである。ある

    『本当はひどかった昔の日本 古典文学で知るしたたかな日本人 』文庫解説 by 清水 義範 - HONZ
  • 連載・特集:どうしん電子版(北海道新聞)

  • 【裳華房】松浦晋也の“読書ノート”(22)

    第22回 郊外の街の歴史が証す「昔は良かった」の嘘 舟越健之輔 著『箱族の街』(新潮社) 昨年末に国土交通省が子育て・介護支援に向けて3世代同居住宅に補助を出すという方針を出してから、どうにももやもやしている。「おじいちゃん、おばあちゃんが同居していた時代は良かった」という懐古主義の結果のように思えるためだ。 今の安倍政権には「昔は良かった、昔のようにしないと」という意識があるのだろう。国交省の3世代同居住宅への補助も、もとは安倍首相ないしその周辺の発案のようで、2015年11月に安倍首相はスピーチ中で「大家族で支え合う生き方も、選択肢として提案していきたいと考えています」と述べている。 しかし、だ。 それぞれの時代の生活のありようは、その時代の状況に適応した結果だ。時代が変われば状況も変わる。そして同じ状況が再現することはまずない。だから単に昔はうまくいっていた手法を踏襲しても、待ってい

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  • 『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』常識を嗤い続けた男 - HONZ

    1989年、日人がやり投げで「幻の世界記録」である87メートル68センチを投げたことを覚えている人はいるだろうか。「疑惑の再計測」の結果、87メートル60センチに記録は改められたが、当時の世界記録に6センチ差にせまる大記録であった。その後はWGP(ワールドグランプリ)シリーズを日人で初めて転戦し、総合2位の成績を収めた。 男の名は溝口和洋。世界記録更新も期待され、人気、体力も絶頂にありながら、翌シーズン以降に忽然と姿を消す。 やり投げでは小柄な180センチほどの身長で溝口はなぜ世界と互して戦えたのか。そして、突然表舞台から去ってしまったのか。書は、学生時代に円盤投げの選手でもあった著者の18年に及ぶ取材の集大成だ。 高校のインターハイにはアフロパーマで出場。一日二箱はタバコをふかし、酒も毎晩ボトル一は軽い。ナンパした女性と朝方まで過ごし、二日酔いで日選手権に出て優勝。陸上投擲界で

    『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』常識を嗤い続けた男 - HONZ
  • 血盟団事件とは、一体何だったのか? 『血盟団事件』 (中島岳志 著) | 書評 - 文藝春秋BOOKS

    『血盟団事件』 (中島岳志 著) 血盟団事件が起きたのは、一九三二年である。――昭和の、しかも戦前の遠い出来事ではあるが、書は冒頭に、その最後の団員であり、五・一五事件の実行犯の一人である川崎長光のインタヴューを置くことで、読者にこの不穏な時代へとアクセスする術を与える。 こんな人が、我々の隣人として存在していたのかとまず驚かされるが、それは、事件直後に当時の人々が感じた衝撃とも通ずるものであろう。 川崎は、地元の保育園の「名園長として慕われてきた」そうだが、その一方で、四元義隆のように、戦後、フィクサーとして政界に大きな影響力を持った団員もいる。 歴史の年表を見れば、事件はただ、ある時、ある期間に起き、その隣には、もう次の別の事件が入れ替わるようにして並んでいるが、人間の寿命は、その行動を超えて遥かに長く続くものであり、影響は容易には消えない。そして、それは決して予測可能なものではなく

    血盟団事件とは、一体何だったのか? 『血盟団事件』 (中島岳志 著) | 書評 - 文藝春秋BOOKS
  • 本書をより美味しく召し上がっていただくために――2016年6月映画公開の『帰ってきたヒトラー』、原作文庫解説を公開。|Web河出

    解説から読む 文庫 - 外国文学 書をより美味しく召し上がっていただくために――2016年6月映画公開の『帰ってきたヒトラー』、原作文庫解説を公開。 マライ・メントライン 2016.05.02 『帰ってきたヒトラー』(上下) ティムール・ヴェルメシュ 森内薫訳 【解説】マライ・メントライン 書『帰ってきたヒトラー』は、2012年にドイツで発売された直後から大きな反響を呼び、即座に大ベストセラーとなった。現代によみがえったヒトラーの「魅力的側面」を描くというのは、ドイツ文化的作法から見てあまりに大胆すぎる試みだ。その騒ぎを知ったときの私の先入観は、おおよそ以下のようなものだった。 ●まあたぶん、一発アイディア勝負のキワモノ小説だろう。 ●ヒトラーを戯画的に描き、歴史原理を単純化して描いているのだろう。 ●どうせ、最後はヒトラーが成敗されるお約束的な展開だろう。 すばらしいことに、これら

    本書をより美味しく召し上がっていただくために――2016年6月映画公開の『帰ってきたヒトラー』、原作文庫解説を公開。|Web河出