長崎県の「南高愛隣会」の施設でくつろぐ女性。日中は弁当配達の仕事や、重度の障害者の世話もするなど社会復帰の道を着実に歩んでいる 厚生労働省が2006年、知的障害かその疑いのある全国15刑務所の受刑者410人を対象に行った調査では、犯罪の動機で最も多かったのは「困窮・生活苦」で36.8%だった。罪名の最多は窃盗(43.4%)で、詐欺(6.8%)、放火(6.3%)と続いた。 福祉と無縁 社会と断絶 「累犯障害者」。生活苦や社会に適応できないなどの理由で犯罪を繰り返す知的障害者のことだ。大半の人に福祉の手は届かず、刑務所が福祉施設の代わりになってしまうことがある。出所後、頼る家族もなく、孤立を深め、再び犯罪に走る負の連鎖。国はそうした人たちの社会復帰支援の体制づくりに着手したが、それは、まだほんの第一歩だ。支援のモデル事業に3年前から取り組む長崎県の施設を訪ね、行き場のない知的障害者の現実