HIV(エイズウイルス)感染者への障害年金の認定が厳しくなっている。血液製剤でウイルスに感染した薬害被害者は、年金が生活の糧という人も多く、打ち切りに悲鳴をあげる。【斎藤義彦】 「これはいじめだ」 月6万4400円(当時)の障害基礎年金を2014年末から約1年間止められた、薬害エイズ被害者の男性(46)は話す。もともと血友病で18歳のころ、非加熱血液製剤によりHIVとC型肝炎に感染、20歳から年金を受給した。今でも突然、38度の熱が数週間続けて出ることがある。出血しやすく右足首の関節も痛む。体調が改善した実感はない。 週3日、塾講師をするのがやっとで年収は100万円を切る。同居する80代の親の年金も合わせ「綱渡り」の生活が続く。不服審査請求しても棄却され、病状が悪化し2回目の請求でようやく支給が決まった。「国は責任を過去のものにしようとしている。薬害は風化し、医師も病状を理解しない」と批判