情報通信の発展とともにますます多様化、巧妙化するハイテク犯罪に対し、先駆的な摘発事例で手腕を発揮する京都府警のハイテク犯罪対策室。個性的な捜査集団の先頭に立つ室長補佐の木村公也警部(53)は、今年4月から警察庁の広域技能指導官に選ばれ、最前線の捜査とともに後身の育成にも力を注ぐ。今年で警察官生活30年。地道な仕事の支えとなっているのは、毎日欠かさず届く妻からの励ましのメッセージだった。(浅山亮) 匿名の壁に無力感…励まされた2500通 深夜、自宅で開いたパソコン画面。次々とアップされる音楽や映画の違法ファイルを前に「どこかに突破口がないか」と考えをめぐらせる。 妙案が浮かばないまま布団に潜り込むと、傍らで眠っていたはずの妻、みのりさん(47)が「ご苦労さまでした」と声をかけた。「自分にも『ゲゲゲの女房』がいるんやな」。NHKの連続テレビ小説に出てくる献身的なヒロインが、ふと頭をよぎった。