韓国から、世界へ。世界から、韓国へ。人が激しく移動する現代において、韓国の人びとはどのように生きてきたのか? 韓国史・世界史と交差する、さまざまな人びとの歴史を書く伊東順子さんの連載。第1話、映画監督チャン・リュルの話の後半をお届けします。 第1話 前半はこちら https://www.webchikuma.jp/articles/-/3258 映画『豆満江』と「脱北者」 チャン・リュル監督の代表作といえば、やはり『豆満江』である。2010年の秋に釜山国際映画祭とアジアフォーカス・福岡国際映画祭で紹介されて大きな話題となった。 「ものすごい映画でした。生涯、忘れられない作品です」 わざわざ東京から駆けつけたという人は、それ以降もチャン・リュル作品は欠かさずに見ていると言っていた。 豆満江は中国と北朝鮮の国境を流れる川の名前である。映画は命がけで川を渡る北朝鮮の人々と、対岸にある同胞(中国朝