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ブックマーク / oda-senin.blogspot.com (33)

  • 北海道置戸町からみる図書館経営問題

    地域アーカイブ研究を始めたときから,北海道の町立図書館を対象にすることは決めていた。ナショナル・アーカイブと地域アーカイブの思想史的な問題は別に論じることにして,ここでは,地域アーカイブとは当該地域のアイデンティティ形成において一定の役割を果たす機関やメディアなどの仕組みないしその作用と大雑把に定義しておく。ここにはひろくみれば,自治体の役所や商工会,学校,地域メディア,出版,図書館,博物館・資料館,文書館などから,今なら,SNSやブログ,動画プラットフォームなどまでも含むことになる。 とくに図書館活動の観点からは,次の4つのポイントを抑えておく必要がある。もっとも基的な「地域資料・郷土資料の収集・保存・提供」はもちろん,「自治体行政との関係」は図書館とその行財政上の基盤であることと行政に対するシンクタンク機能を提供するものと考えられる。さらにアーカイブ機能の柱となる「自治体史編纂,歴史

    北海道置戸町からみる図書館経営問題
    Guro
    Guro 2024/06/21
    “また,21世紀になってから,文部科学省は図書館政策において地域の課題解決支援を言い始めたが,それがちぐはぐなのは,社会教育や郷土史などの基盤領域を抜きにしたから”
  • 市川沙央『ハンチバック』と読書のバリアフリー

    ふだん小説はほとんど読まない。そんな私が 最近,市川沙央『ハンチバック』というを読んだ。芥川賞受賞作を受賞後1年以内に購入して読むことなど初めての体験だ。それというのも,このが身体障害者の読書バリアフリーを一つのテーマにしているという声がさまざまなところから聞こえてきたからだが,もう一つ,かねてより『文藝年鑑』という定期刊行物にこの1年間の「図書館」についての短い報告を書くことになっており,そこにこのことがもつ意味について書いてみたいと考えたからだ。なので,これから書くのは,『文藝年鑑』(6月末刊行予定)で書き足りなかったことを補足するものである。 この物語の主人公は,首や背中に重い障害をもっていて,常に人工呼吸器をつけ痰吸引が必要であることによって車椅子生活を余儀なくされている。その彼女はウェブにポルノ記事を書くことを趣味(生活費の足し?:といっても主人公は親からのかなりの財産を遺贈

    市川沙央『ハンチバック』と読書のバリアフリー
    Guro
    Guro 2024/02/21
    (読むべき記事)
  • 板橋区立中央図書館と区政会議資料の公開

    公園と図書館去る10月24日に横浜のパシフィコ横浜で開かれた図書館総合展でのARGのイベント「図書館×公園」でもっと考えたいことに出るために横浜に向かう途中に,池袋から東武東上線に乗って上板橋駅近くの板橋区立中央図書館に立ち寄った。ここが,最近できた,公園に面した図書館と聞いたからである。 駅から数分で公園に近づくとわあわあというたくさんの子どもたちの声が聞こえるのが新鮮だった。田舎暮らしの身では久しく体験できなかったものである。天気も上々で広い公園で遠足にでも来たのだろう,小学校中学年くらいの子どもたちが百人以上も元気に遊んでいた。近くの幼稚園か保育所の子どもたちも遊んでいる。(子どもを「元気に遊んでいる」と記述するのはステレオタイプかとも思うが,そのように表現せざるをえないような情景だった。) 講演の一角に図書館が建っていた。これも今風の建築でなかなかスマートで気持ちがいい。公園から図

    板橋区立中央図書館と区政会議資料の公開
  • 日野市立図書館市政図書室とは何か―現代公共図書館論を考えるための一里塚

    9月30日(土)に、東京渋谷の実践女子大学でJissen Librarianshipの会 特別シンポジウム 「公共図書館の地域資料サービス:日野市立図書館の実践から考える」が開かれた。これに、元小平市立図書館長蛭田廣一氏、前日野市立図書館長清水ゆかり氏とともに登壇して、私は「日野市立図書館市政図書室の21世紀的意義」と題するお話しをさせていただいた。お二人とも、三多摩地域資料研究会を通じて四半世紀になるお付き合いで、さまざまな刺激を受けて私はこの分野の重要性を問い続けてきた。2018年3月には「図書館はオープンガバメントに貢献できるか」の公開シンポジウムを開き、その報告をブログ上で行っている。 蛭田さんは地域資料関係のの執筆や講演を続けているこの分野のエクスパートで、地域資料サービスの全体像と小平市立図書館がいろいろと革新的な地域資料サービスを実施してきたことについてのお話しがあっ

    日野市立図書館市政図書室とは何か―現代公共図書館論を考えるための一里塚
    Guro
    Guro 2023/10/03
    重い。ひとりでは読み切れない・読み解けない。。/70年代からの「図書館は何をするべきか」議論の振り返りととるが、いまそんなリソースがない気がする。
  • 計量経済学的手法による図書館貸出の影響分析(大場博幸論文について)

    9月28日夕方に専修大学で日出版学会出版産業研究部会主催の大場博幸氏(日大学文理学部)の「公共図書館の所蔵および貸出は新刊書籍の売上にどの程度影響するか:解説と補足」と題するセミナーが開かれて出席した。これは、『日図書館情報学会誌』掲載の同氏の論文を元にするもので、すでにそれについてはこのブログで触れたが論文自体についてはコメントしていなかった。論文はまだエンバーゴ期間中であって、会員であるか、図書館に行かないと読めない。 大場博幸「公共図書館の所蔵および貸出は新刊書籍の売上にどの程度影響するか:パネルデータによる分析」日図書館情報学会誌/69 巻 (2023) 2 号 大場氏の論文は、ある程度こうした計量的な分析に慣れていないとなかなか読みこなすのは難しいものだが、私も含めて一般の人にも分かりやすい解説がされていてありがたかった。約1時間の解説はいずれ動画として公開されるそうなの

  • 三つの私設図書館と「舌なめずりする図書館員」

    以下、最近、いくつかの図書館を訪ねて、それらに通底する戦後図書館の論理と限界、そして可能性を感じたので書いておきたい。このブログでは公共図書館の運営と今後の在り方について、あまり前面に出して論じてこなかったことではあるが、いい機会なので備忘録としておく。 函館・天理・野田興風5月下旬に函館市立中央図書館と旧市立函館図書館を訪ねた。ここの初代館長岡田健蔵は、明治末期にできた私立函館図書館の設立者で市立図書館となってから長らく館長を務め、市会議員もしていた地元の有名人である。彼が北方資料にこだわり、その方面で有数のコレクションをつくったことは図書館史家の間では知られていたが、全国的に有名というわけではない。同図書館は現在はTRCと地元企業との共同で指定管理になっている。やはり民間になじみやすいところなのかもしれない。 旧市立函館図書館(現中央図書館とは別)6月に関西旅行をしたときに、天理図書館

    三つの私設図書館と「舌なめずりする図書館員」
    Guro
    Guro 2023/07/15
    大倉山論集を引いてるのに大倉邦彦は?/MARCと図書館システムはなんでここに出てくるのか?/公立図書館と私立図書館?/あとでちゃんと読まないと
  • NDLデジタルコレクションについてのあれこれ

    国立国会図書館のデジタルコレクションが、昨年暮れから今年の初めにかけてさらにヴァージョンアップされました。それは全文テキスト検索とそれによるスニペット表示が可能になったこと、そして、50コマまでの複写が可能になったことです。全文テキストというのは、資料の版面からスキャンして得た画像からOCR技術を通じて文字を抽出して作成するものです。これによってテキストに含まれる文字列での検索が可能になります。従来、書誌事項(タイトルや著者名など)や目次(これが検索対象になったことも重要だが)からの文字列が対象だったのが、文が検索対象になったことは革命的なものをもたらします。今まで見えなかったものが見えるようになったということです。ただし、検索結果の表示は1行程度の部分的なものです。これは、著作権法(47条の5)に基づく措置です。また、50コマまでの複写が可能になったことも特筆すべきことです。だいたい1

    NDLデジタルコレクションについてのあれこれ
    Guro
    Guro 2023/03/03
    “使えるかどうかの判断はやってみないと分からなかった”
  • 軽井沢風越学園の図書館教育コンセプト

    ようやくここを訪ねることができた。話しに聞いていた「図書館を大事にした学校」。ここ何年か学校図書館が戦後教育改革において重要な位置付けにあった痕跡について研究しているが、そこで、「図書館教育」という試みがあって、カリキュラムの展開に大胆に図書館のことを入れようとしたが、結局のところうまくいかなかった。それがなにゆえなのかがずっと気になっていた。そういうなかで、GIGAスクールでもなければ、国際バカロレアでもない試み。いったいそこで何をやっているのか。それはたった数時間の滞在で当のところを理解できるわけではないだろう。しかしながら大きな期待を抱かせるものであった。その一端を伝えようと思う。 風越学園とはどんなところかすでにメディアやネットでこの学園の試みは伝えられているので、最初はそこからイメージをつくり出してみよう。基的な情報はWikipediaにある。軽井沢といっても、駅からバスで3

    軽井沢風越学園の図書館教育コンセプト
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    Guro 2023/02/18
  • ChatGPTは図書館の敵か?

    ChatGPTという質問応答型のAIサイトが話題になっている。たとえば、朝日新聞Web版には次のような記事が出ている。(https://digital.asahi.com/articles/ASR2B52W9R28UHBI024.html) >ChatGPTが変える検索 グーグルは守る闘い、日「蚊帳の外」(松尾豊・東京大学教授 聞き手・真田嶺, 2023年2月13日 17時00分) > 米新興企業「オープンAI」が開発した対話型の人工知能AI)「ChatGPT(チャットGPT)」が世界で大きな話題となっています。ロイター通信は、金融大手UBSの分析として、昨年11月末に公開されてからわずか2カ月で、月間アクティブユーザーが1億人に達したと報じました。このユーザー数は、人気の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」でも9カ月かかったとされています。そもそもチャットGPTのどのよう

    ChatGPTは図書館の敵か?
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    Guro 2023/02/14
  • 『アーカイブの思想』のその後 ①

    2021年1月に拙著『アーカイブの思想:言葉を知に変える仕組み』(みすず書房)が出てから1年8ヶ月ほどが過ぎた。過去、ブログではいただいた書評に対する応答を3回行った(2021-04-28,2021-09-24,2021-09-24)。ここでは、その後、発表された書評に応答し、出版後のあれこれについて報告しておきたい。 まず、書はおかげ様で現在第4刷りになっている。専門書価格帯のとしては比較的売れたのはたいへん有り難いことである。購入していただいた方には感謝申し上げたい。当初、みすず書房の営業担当者から書名のどこかに「図書館」を入れるように強い要望があったのは図書館市場を意識してのことだったが、敢えて入れないことを選択した。その意味でも、安堵している。なぜ、入れなかったのかはこのあと触れたいと思う。 その後の書評についてこのを書いたことでいろいろなレスポンスをいただいた。書評はすでに

    Guro
    Guro 2022/10/31
    根本先生フォローアップされてるのな。(私的勉強会を行ったことをどこかでお伝えしたほうがよかっただろうか)(あとRDA家族の誤記も)
  • 計量経済学的手法による図書館貸出の影響分析

    図書館での資料貸出について、2017年にレビューしたあとに無視できない学術研究が出ている。まず川口康平(香港科技大商学院経済学部)と金澤匡剛(東京大学大学院経済学研究科)による英文の論文(1)とそれを図書館関係者向けに分かりやすく説明した講演(2)があり、さらに大場博幸(日大学文理学部)が別の視点から行った研究(3)である。簡単に言えば、川口・金澤両氏の論文は図書館での貸出は書店の売り上げに影響があることを実証したというものであるが、大場氏は古書(新古書も含む)の市場を考えに入れるべきであるとして古書市場と図書館サービスの関係について研究している。(1)と(3)はそれぞれ学会誌に掲載された査読論文であり、学会レベルで正しさが主張されているということができる。(2)の講演は図書館関係者向けのものでもあるので、売り上げに影響があっても図書館がもつ他の効果を考慮して公共貸与権の導入を考えるべき

    Guro
    Guro 2022/10/25
    こんなこと申し上げるのは大変失礼だが。根本先生、ご自身で研究なさらない分野でも研究動向に目配りし、議論の方向性を考えていらっしゃるのだな。
  • 『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』批判

    10月16日付け朝日新聞の書評欄に標記の(中村文孝・小田光雄著、論創社, 2022年8月刊)の書評が出た(https://book.asahi.com/article/14744652)。「とんでもないを手にとってしまった」で始まる記事の書き手はサンキュータツオという人である。これを要約しておこう。 図書館の数は1970年代からの半世紀で4倍近くになったのに対して、書店は、1990年代以降減り続けている。年間の書籍販売部数よりも図書館の個人貸出冊数の方が多くなった。の購入はアマゾンをはじめとするネット購入と「公営無料貸屋」である図書館が代行するようになった。こうなった理由が、図書館流通センター(TRC)のMARCの利便性にあるが、図書館が自らの存在意義を再定義し損ねた部分もあり、それによって職員は嘱託で済ませ専門性を育めることもない。おしゃれで新刊雑誌や書籍をお茶を飲みながら読める

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    Guro 2022/10/24
  • 文科省の学校図書館行政の展開

    今年5月16日付けの当ブログ「「学校教育情報化推進計画(案)に関する意見募集の実施について」への意見」で、文科省のGIGAスクール構想について意見を送ったことを書いた。 「学校教育情報化推進計画(案)」について、公立図書館と学校図書館とを統一的に学習情報資源提供の場と捉えて、すでに存在する情報資源、資料や人的資源とを統合的に活用する条項を含めることを提言します。 という内容の提言である。これの効果があったのかどうか直接の関係は分からないが、最近8月2日付けで文部科学省総合教育政策局地域学習推進課長と文部科学省初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチームリーダーの名前で、「1人1台端末環境下における学校図書館の積極的な活用及び公立図書館電子書籍貸出サービスとの連携について」という文書が都道府県教育委員会担当部局などに向けて送付された。学校図書館が「授業の内容を豊かにしてその理解を深めたり

    Guro
    Guro 2022/08/05
  • 石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』感想

    書いている時点ではまだ刊行されていないが、石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋刊)が7月末に刊行予定である。このを版元から頂いたので一読した感想を記しておきたい。頂いたのはこののなかで著者によるインタビューがあって私の発言の一部が引用されているからである。 書の概要書でいう国語力であるが、一般的にはを読むための読解力とか言語力のようなコンテクストにおいて理解されている。PISAの読解力(reading literacy)の点数が他のリテラシーよりも低いとか、大学生が中学校の教科書を正しく読めない(あのクイズまがいの質問にこたえられないことが読解力がないことの根拠に使われていたのには少々あきれたが)、大学生の半数は1ヶ月に1冊のも読んでいないといった言説で言われるものである。が、書で扱う国語力の幅はもう少し広い。というよりも、国語力とは言葉を使用する能力であり、言葉

    石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』感想
    Guro
    Guro 2022/07/26
    (根本先生のご感想とはまったく関係しないけれど)国語教育の中で、単元学習であった大村はま に立ち戻る必要があるのではないか。https://honto.jp/netstore/pd-book_02295055.html
  • 図書館市場についてのケーススタディ

    日、郵便物で「岩田書院新刊ニュース 集成版 2021.6-22.04」という冊子が送られてきた。歴史書の出版社岩田書院の新刊の案内DMなのだが、これに「裏だより」というのがついていていつもつい読まされてしまう。この出版社は社主岩田博氏が『ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏 』(無明舎)というを書いているように、一人で経営していること、そしてその舞台裏を明かしながら経営していることが特徴だ。『地方史研究』とか『アーカイブズ学研究』といったときどき見ている雑誌はこちらが版元だったとは今日この冊子をまじまじと読むまで気づかなかった。 今回の「裏だより」に「品切れ続出」という記事がある。出したばかりで品切れになってしまった図書が4点挙げられている。もっと売れたはずなのに売り損ねたという扱いだが、そこで注目したのはそれぞれに刷り部数が書いてあることだ。以前から出版の経済学の必要性を唱えていたが、

    Guro
    Guro 2022/05/25
    trcno:21035683 2224号 SS★1/てか刷300で出版可能なのか。
  • 『国際バカロレア教育と学校図書館—探究学習を支援する』の刊行(10月30日発売)

    アンソニー・ティルク著『国際バカロレア教育と学校図書館——探究学習を支援する』(根彰監訳、中田彩・松田ユリ子訳)学文社, 2021. 原著:Anthony Tilke, The International Baccalaureate Diploma Program and School Library: Inquiry-Based Education, Libraries Unlimited, 2011. (Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4762031062) が刊行されました。(店頭に並んだのは10月30日からです) 書の著者アンソニー・ティルク氏は現在はオランダのハーグ・アメリカンスクールにいますが、かつて横浜インターナショナルスクールに8年いたことがある日通の学校図書館員です。この著書は国際バカロレアと学校図書館の関係について概説した唯一

    『国際バカロレア教育と学校図書館—探究学習を支援する』の刊行(10月30日発売)
    Guro
    Guro 2021/09/15
  • 「アーカイブ」と「アーカイブズ」は違う

    新著『知の図書館情報学―ドキュメント・アーカイブ・レファレンスの質』の予告 10月に表記のを丸善出版から出してもらう予定です。すでに Amazon には新刊予告が出ています。このは、 『アーカイブの思想ー言葉を知に変える仕組み』 (みすず書房, 2021) の出版後に、求められて書いたり、お話したりした内容をまとめたものです。ここ数年間で 学校図書館...

    「アーカイブ」と「アーカイブズ」は違う
    Guro
    Guro 2021/06/04
    がくぶるだな
  • オンライン資料の納本制度の改定について(2)

    オンライン資料の納制度についての私論前項に続いて、このオンライン資料やデジタル資料の利用についていささかの私見を述べておく。関連の論考として、根彰「知識資源のナショナルな組織化」(根彰・齋藤泰則編『レファレンスサービスの射程と展開』日図書館協会, 2020, p134-162)があるので併せて参照されたい。なお、オンライン資料以外の、従来の納制度の対象資料と対応するデジタル資料の納制度の必要性については最後に述べておきたい。 NDLのデジタル化戦略デジタル資料を梃子にしてNDLの現代化を図るというのは、かつて2007年から2012年にNDL館長を務めた長尾真氏が取り組んだものである。長尾氏の館長時代にNDLは資料のデジタル化、納資料に電子出版物やオンライン資料を含めること、そしてインターネット資料の自動収集制度を始めた。これらは従来の図書館が対象とする資料の範囲をデジタル資料

    オンライン資料の納本制度の改定について(2)
    Guro
    Guro 2021/05/06
  • オンライン資料の納本制度の改定について(1)

    これは、10年以上前の国立国会図書館長の諮問「平成 22 年 6 月 7 日付け納制度審議会答申『オンライン資料の収集に関する制度の在り方について』におけるオンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(平成 23 年 9 月 20 日)に対する答申であり、中間答申「オンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(平成 24 年 3 月 6 日)を経て、最終的にまとまったものである。なぜ、そんなに時間がかかったのかだが、これはNDLの中長期的な経営戦略と関わっている。じっくり時間をかけて関係者と協議しながら実績をつくり実現させる必要があったということだと思われる。これを理解するには、よく使われる次の図を見るとよい。これは納制度に関わる資料の配置を示したもので、全体としては図の上に矢印で示してある「有形」と「無形」の区別と右にある「公的

    オンライン資料の納本制度の改定について(1)
    Guro
    Guro 2021/05/06
  • 『アーカイブの思想』の書評

    今年の1月に刊行された『アーカイブの思想』はおかげ様で多くの読者を得つつある。あえてタイトルに「図書館」を入れないで出版してもらったことで版元には心配を掛けたが、それ自体は杞憂に終わった。確かに「図書館市場」というのがあって、そこに焦点を当てれば一定の部数が捌けるのだろうが、今回はこちらの我が侭を通させてもらった。4月に増刷されて当初の目標の販売部数は確保できたものと思う。 最初に、『週刊読書人』4月9日号に掲載された、「アーカイブ図書館を知り、よりよく活かす 対談=根彰・田村俊作『アーカイブの思想』(みすず書房)刊行を機に」を紹介しておく。 https://dokushojin.com/reading.html?id=8084 田村俊作さんは慶應の図書館情報学専攻にずっとおられた方で辞められた後に、私が入れ替わりで入った経緯がある。その意味で互いによく分かっている者同士の話し合いとい