足踏みの状態から抜け出し、行政のデジタル化を進める司令塔の機能を強化しなければならない。 デジタル庁の発足から8カ月足らずで事務方トップの石倉洋子デジタル監が退任した。牧島かれんデジタル相は「当初の役割を果たした」と説明するが、組織の立ち上げに苦労したようだ。 後任には、金融系IT企業などでの経験がある浅沼尚氏が就いた。専門人材の能力を生かせる組織作りを急いでもらいたい。 職員の出身は中央官庁や地方自治体、企業と多岐にわたる。考え方や働くスタイルの違いから摩擦が生じることは、当初から予想された。とはいえ、半年程度で退職する民間出身者も出ている。事態を重く受け止め、対策を講じる必要がある。 喫緊の課題は、技術の進化に対応できていない官僚の意識改革だ。現在は迅速にやりとりできるチャットアプリなどの活用も広がっているが、当初は紙の文書やメールに頼り、意思決定に時間がかかったという。 行政システム