社説：エリザベス英女王死去 現代の王室モデル築いた | 毎日新聞英国のエリザベス女王が死去した。在位期間は英国史上最長の70年余に及んだ。時代に合った王制のあり方が模索される中、現代における王室モデルを体現した。 即位は1952年、25歳の時だった。植民地を失った英国は当時、「大英帝国」からの没落期にあった。女王が力を入れたのは王室外交である。 オセアニアやアフリカ諸国を次々と訪問し、旧自治領・植民地との関係再構築に力を尽くした。 南アフリカの人種隔離（アパルトヘイト）政策への対応では、英政権の方針とは一線を画し、制裁を訴えるアフリカ首脳の立場を、人権尊重の観点から支持した。 特別な関係にある米国との友好にも心を砕いた。91年の湾岸戦争後、英国王として初めて米議会で演説し、連帯の重要性を説いた。 皇室とのつながりも深い。71年に訪英した昭和天皇を晩さん会に迎え、「不幸なことが二度とあってはなりません。そう決意させるのも過去の経験です」と語った。 第二次
