少子高齢化が進む日本社会を持続可能にする税制の構築が急務だ。だが政治家が避けがちな負担の議論に踏み込む役割を果たしたとは言いがたい。 大学教授ら専門家で構成する政府税制調査会が今後の税のあり方を示した答申を4年ぶりにまとめ、岸田文雄首相に提出した。 新型コロナウイルス対策費で予算が急膨張した。昨年度の税収は過去最高の71兆円だったが、歳出を賄うには40兆円超も足りない。 首相は財源をあいまいにしたまま、防衛と少子化対策の予算を倍増させると表明した。1000兆円超の借金を抱える財政が一段と悪化しかねない。 将来世代に巨額のつけを回すのは無責任だ。歳出の無駄を徹底的に省いたうえで、国民に一定の負担を求めるのはやむをえない。 答申が、歳出に見合った税収を確保する「税の十分性」を強調したのは当然である。 しかし、有力な選択肢となる消費税に関しては「今後とも重要」と指摘しただけで、現在の税率10%を
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