核兵器禁止条約に加盟する国や地域による会議がニューヨークの国連本部で開かれた。採択された政治宣言では、核兵器の全廃に向けた決意を改めて表明した。 ウクライナに侵攻したロシアが核の威嚇を続ける。米国が強大な核戦力の更新を図り、中国が核兵器の増強を進める。核保有国が正当化する根拠が核抑止論だ。 核攻撃しようとしても核の報復を恐れて思いとどまるという理論を言う。冷戦時代には「恐怖の均衡」と呼ばれた。 だが、こうした行動が軍縮に取り組む義務を定めた核拡散防止条約(NPT)に反するのは明らかだ。会議では批判が相次ぎ、抑止論が「核軍縮の歩みを阻害している」と政治宣言に盛り込んだ。核抑止の問題点を指摘する報告書を作成することも決めた。 かつての抑止論はもはや通用しない。新型の核兵器や高度なミサイル防衛などが「均衡」を崩している。新たな核の管理のあり方を模索するときだろう。 脅威を徐々に低減させる方策が必