昨年12月から今年2月前半にかけて1ドル=80円台を記録した円相場は2月後半以降円安方向に転換、3月10日には99円台となり、100円台をうかがう展開になっている。 原因は何か。米国の株安と金融不安の中で米金融機関や米系ファンドが円売りに動いているうえ、日本の景気悪化や麻生政権の支持率低下による政局不安、景気対策の遅れから円が売られやすくなっているという見方が強い。 為替は貿易収支で動く しかし、為替相場を動かす基本要因である国際収支の動きを忘れてはなるまい。昨年秋以降の欧米の景気悪化と円高傾向のもと、経常収支黒字は顕著に収縮。今年1月には13年ぶりに赤字に転落した。 特に貿易収支の落ち込みが大きく、11月以来赤字が続いている。通関ベースの貿易統計速報によると、貿易赤字は1月まで4カ月連続で、1月の赤字幅は9500億ドルと過去最大。輸出額は前年同期比46%減と減少幅も過去最大だ。