1本千円近い牛乳が注目を浴びている。岩手県の山奥で24時間365日、自然放牧の「中洞(なかほら)牧場」で搾った牛乳だ。効率は悪くても、業界の常識とは一線を画して30年以上。IT企業と連携し、東京や名古屋に専門ショップを開いた。■「山地酪農」、きっかけは映画 6月中旬、東京・銀座の松屋銀座の食品フロア。飲むヨーグルトやプリン、ソフトクリームもそろえた中洞牧場の専門店で、牛乳を試飲した千葉県市川市の梅津誠さん(60)は「べたついた後味が残らず、のみやすい」。普段から有機栽培の野菜を買うなど健康に気をつかっている。「自然放牧なら安心。高くてもそれだけの価値はある」と牛乳を買った。 記者も1本(720ミリリットル、972円)を飲んでみた。牛乳瓶の上の方で乳脂肪分が固まり、これが生クリームのようにおいしい。牛乳はコクの中にも、さらっとした飲み口だ。昨年、全国規模のご当地牛乳品評会で「最高金賞」に選ば