○河添房江『唐物の文化史:舶来品からみた日本』(岩波新書) 岩波書店 2014.3 異国からもたらされた貴重な品々。前近代には、それらを総称する「唐物(からもの)」という言葉があった。本来は、中国からの舶来品、もしくは中国を経由した舶来品を示す言葉であったが、近世には、南蛮もの、さらにオランダものを含めて、舶来品を総称するようになった。 そこで本書は、舶来品すなわち唐物が、古代から近世までどのように日本文化に息づいているのか、明らかにすることを目指している。テーマは面白いけど、ちょっと大きく構え過ぎじゃないかと思った。 私は前半が非常に面白かった。最初に登場する舶来趣味の重要人物は、聖武天皇。その象徴的な場として挙げられているのが難波宮である。そうか、そうであったか…先日、難波宮跡を見てきたばかりなので感慨深かった。難波宮跡には桜が植わっていたが、本当なら梅林にすべきだったな。天平4年には