長い髪をなびかせたイケメンで、息継ぎをせず一気に口演する「三段返し」で、明治時代に人気を博した浪曲師・桃中軒雲右衛門(とうちゅうけんくもえもん、1876~1916年)。ひ孫の演芸研究家、岡本和明さん(60)が伝記「俺の喉(のど)は一声千両 天才浪曲師・桃中軒雲右衛門」(新潮社)を刊行した。 雲右衛門は群馬県出身で、「浪花節中興の祖」と称される。伊藤博文や有栖川宮妃の前でも演じ、歌舞伎座で独演会を開くなど大道芸だった浪曲を劇場芸にまで押し上げた。演台に豪華な布をかぶせ、金びょうぶを背に、立って語る現在の浪曲の様式も完成させたという。 「うなるカリスマ」といわれる浪曲師、国本武春さん(54)は「雲右衛門先生は口演中の3分間、息継ぎが聞こえないといわれたほど息が長く、お客も息を詰めて夢中で聞いていたそうです」と話す。
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