「現在、最も典型的な女ことばを話しているのは、日本人女性ではなく、翻訳の中の非日本人女性なのです」(10頁)とまで言われる「女ことば」に対する一般的な観念・イメージがどのようにして成立してきたのかを扱っっている。 とても読みやすく、分かりやすく、「そうだったのか!」という新鮮な知的発見に溢れている。 女性の多様な言葉づかいがどうして「女ことば」という一つのカテゴリーを形成したのか、女らしい話し方はなぜいつ女性の話し方のルールになったのか、なぜメディアの作り手は「女ことば」の知識を発信してきたのか、女ことばは日本語の伝統だなどの信念はいつから生まれたのかという、基本的な問いに答えようとしている。 そして、その答えは次のように、まさに驚くべきものである。 「女の言葉づかいが規範の対象として語られ始めたのは鎌倉・室町時代であったことに驚かれるかもしれません。一方で、特定の人称詞や文末詞が「女こ