NSXというクルマは今でも心に甘く切なく響く1台です。私の所有していたNSXは、購入後、6年~7年間で7万5千キロほど乗りました。 NSXを現在の常識や価値観で評価する、あるいは語るというのはとてもむずかしいことではないでしょうか。NSXがデビューした当時、“スーパーカー”という単語はヨーロッパでは、まだ耳慣れない新しいものだったからです。そう、最初のスーパーカーは60年代後半にデビューしたランボルギーニ・ミウラという人もいるでしょうね。でも、真の意味で、今日のスーパーカーの爆発的ブームは1980年の終わりから始まったのではないでしょうか。 その80年代末というのは、マクラーレン・カーズ(McLaren Cars)が、ちょうどロードカーのマクラーレンF1の構想をつくり始めていた時期でした。したがって私は、私自身が真に作りたいクルマとはどういうものかを考えることに集中していました。 私の理想