かつて戦前戦後の東京・新宿に、「ムーランルージュ新宿座」という劇場があった。風刺劇やレビューなどを上演し、文士や学生らの絶大な人気を集めたが、その誕生80周年を記念してドキュメンタリー映画「ムーランルージュの青春」が作られた。メーンを飾るのは、この劇場のトップスターでアイドルの元祖とも言うべき存在の明日(あした)待子(まつこ)。今で言えばAKB48並みの人気者だった明日さんは、90歳を超えた今も、札幌で日本舞踊の師匠として多忙な日々を過ごしている。(札幌支局 藤井克郎) 「戦後まもなくこちらに来てからみなさんにお知らせもしていませんし、元気でいるということにびっくりされる方もいらっしゃるようですね。今でも踊りのお稽古(けいこ)は週に3日はしています。お弟子さんの発表会に出てくださいといわれることもありますし、結構忙しいですよ」と明日待子こと正派五條流宗家家元の五條珠淑(たまとし)さん(91