朝日新聞は8月5日付朝刊で、これまでの慰安婦報道を検証する記事を掲載した。1面に杉浦信之編集担当の署名で、「私たちは元慰安婦の証言や少ない資料をもとに記事を書き続けました。そうして報じた記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました」とする記事を載せ、誤報があったことを認めた。(大森貴弘) 朝日は昭和57年9月、戦時中に「山口県労務報国会下関支部動員部長だった」と名乗る吉田清治氏を取り上げ、計16回にわたって記事を掲載した。 吉田氏は自著で韓国・済州島で朝鮮人女性205人をトラックで強制連行した-などと「証言」した。この報道をきっかけに、平成5年に慰安婦の強制性を認めた河野洋平官房長官談話が作成された。 だが「証言」は後に虚偽だったことが判明する。 平成4年、済州島で現地調査を実施した現代史家の秦郁彦氏は裏付けがまったくとれず、証言を虚偽と断定し、吉田氏を「職業的詐話師」と指弾した