【ソウル=名村隆寛】韓国政府は12日、中学と高校で使う韓国史の教科書について、2017年度の新入生用から現行の検定制を廃止し、国定教科書を導入する方針を発表した。 黄(ファン)祐呂(ウヨ)教育相は同日の記者会見で、「理念の偏りをぬぐい、正しい国家観とバランスの取れた歴史認識を育むことができるよう客観的事実に基づく教科書をつくる」と述べた。 具体的には、現行教科書の一部が朝鮮戦争の責任が韓国にもあるとしたほか、北朝鮮の「主体思想」を無批判に記述していることなどをあげた。黄氏は「事実をゆがめて国論を分裂させている」とし、国定化が不可欠であると指摘した。 新たな国定教科書は「正しい歴史教科書」との名称で、政府の国史編纂委員会が作成。韓国では朴正煕政権下の1974年から国定教科書を使用してきたが、金大中政権の2002年に検定制が導入され、複数の教科書が採用されるようになった。