毎年9月の第3月曜日は、「敬老の日」。長野市在住の金子孝義さん(71)は、この日が近づくと、やるせない気分になる。 5年ほど前、町内で催される「敬老会」に世話役の一人として参加した。70歳以上の約130人が招待され、その半数が出席して公民館で食事をしながら盛大に祝った。希望者には送迎タクシーを手配し、まんじゅうの記念品も出る。金子さんは驚いた。この行事だけで毎年の運営費が20万円を超えるという。これは年間の町内会費の約1割。同じ町内の育成会に加入する小学生は6人。こちらの予算は年5万円と微々たるものだ。 これが「シルバー民主主義」というものか。金子さんは得心した。商売人の家に生まれ、車の営業マンを長く続けた。先輩から「客商売でスポーツと政治の話は厳禁」とたたき込まれた。正直、必ずしも民主主義が良いとは思っていない。専制政治だって、独裁だって指導者さえ悪くなければ、商売はやっていける。そう信