岸田文雄首相は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記とのトップ会談を行い、全ての拉致被害者の帰国を実現させたい考えだ。だが、北朝鮮は日本や米国などの制止を振り切り、弾道ミサイルの発射や核開発に向けた動きを活発化させている。この状況を打開し、拉致問題解決に道筋をつけられるか。首相の覚悟と力量が問われている。 「あなたの遺志を継ぎ、ご家族のもとに、拉致被害者が帰ってくることができるよう、全力を尽くす」 首相は9月27日に行った安倍晋三元首相の国葬の弔辞で拉致問題の解決を誓った。安倍氏が首相辞任を表明した際、やり残したこととして挙げたのが拉致問題だ。岸田政権も「最重要課題」と位置付けている。 拉致被害者帰国には米国の関与も欠かせない。バイデン米大統領は5月に来日した際、被害者家族と面会した。ただ、米国の関心は中国やロシアのウクライナ侵攻への対応に向けられており、トランプ前大統領が金氏