「虐待禁止条例」の改正案を撤回する方針を表明し、記者会見で頭を上げる自民党議員団の田村琢実団長=10日午後、埼玉県議会(星直人撮影) 埼玉県議会への提出から1週間足らずで撤回を余儀なくされた自民党県議団の児童虐待禁止条例改正案。ネグレクト(育児放棄)などが各地で問題化するなか、親の責任に重きを置いた内容だったが、子育て世帯の実情から乖離(かいり)しているとの批判が殺到した。今回の「炎上」は図らずも、児童虐待を減らす上で家庭の孤立や貧困といった構造的な問題の解決こそが先決となることを浮き彫りにしたといえそうだ。 「非常に残念な思いでありますけれども…」。10日に記者会見を開いたで自民党県議団の田村琢実団長は条例案の撤回に無念さをにじませた。 改正案では、子供だけでの留守番を「放置」とみなすが、多くの親がそれを虐待と感じているとは言いがたい。海外に比べ、日本はネグレクトへの警戒が緩いという指摘