宮崎沖で十一月二十一日に発生した海上自衛隊の練習潜水艦「あさしお」(艦長・隈元均夫二等海佐)によるパナマ船籍のケミカルタンカー「スプリングオースター」(四、一六〇トン)との衝突事故。そこからは、安全軽視と訓練優先という軍事組織特有の問題が浮かび上がってきました。(山本眞直) 「衝突事故は、あさしおの潜航があと数秒遅れていたら、大惨事になっていた。タンカーに大穴があき、積んでいた化学物質がなんらかの原因で爆発でもすれば多数の犠牲者が出た可能性がある」。こう警告するのは海難審判関係者です。事故直後に海上自衛隊の吉川栄治幕僚長も「一歩間違えば大惨事になっていた」と発言しています。 「艦長のミス」 衝突は、宮崎沖の海域で潜航と浮上をくりかえす訓練中に起きました。 潜水艦の潜航・浮上をくりかえす訓練は一般船舶も航行する公海で実施されます。しかし魚雷の発射演習などを除いて国土交通省への事前の訓練海域の