「令和5年度業務報告書」について 令和5年度業務報告書は、放送法第72条の規定に基づき、NHKが令和5年度に実施した業務の内容をとりまとめたもので、令和6年6月25日に経営委員会で議決され、同日、総務大臣に提出しました。 本報告書は、このあと、総務大臣の意見書が添付されて国会に報告されます。
スマートフォンの普及などメディアを取り巻く環境が大きく変わる中で、子どもたちがどのようなメディアやデジタル機器を日々利用し、家庭ではどのようにデジタル教材を使いこなして学習しているのか、全体像を把握する大規模調査を実施した。その結果を3回に分けて報告する。今回はおもにウェブモニター調査の結果から、子どもたちの基本的なメディア利用に注目した。リアルタイムのテレビ視聴とインターネット動画利用をみると、小学生以下ではテレビがやや高いものの、成長するにつれてネット動画の存在感が増していた。また、そのネット動画の存在感は、見る動画サービスが増えていたり、利用時間が長時間化したりする点において顕著であった。さらに子どもが自分でスマートフォンを使うことは、ネット動画に加え、SNSやゲームといった多くのデジタルサービス利用を促進していたが、それぞれの浸透のタイミングは内容によって異なり、中にはスマートフォ
本稿は2023年10月開催の「文研フォーラム2023秋」のシンポジウム「メディアの中の多様性を問う~ジェンダー課題を中心に~」の採録をベースに、メディア組織内のジェンダー課題と、課題克服のために何ができるのかを考察する。 NHK放送文化研究所では2021年度からテレビ番組に登場する男女比を継続的に調べてきた。このシンポジウムでは、多様性やジェンダー平等への関心が高まるなかで、メディアは社会の要請に応えることができているのか、メディア内部のジェンダー課題を中心に有識者と議論した。第1章は、2023年10月号の『放送研究と調査』に掲載した多様性調査の最新結果のうち、シンポジウムで報告した内容とメディア内の女性比率の現状を踏まえたシンポジウムの討議の模様を伝える。第2章では、労働組合のアンケートをもとに職場のジェンダーギャップの現状を可視化した登壇者の川崎桂吾氏(毎日新聞労働組合・前委員長)の報
APAC Trusted Media Summit 2023が,2023年12月にシンガポールで開催された。アジア太平洋地域の32の国と地域から約680人が参加し,誤情報・偽情報に対する課題や知見を共有した。2024年は世界各地で指導者を選ぶ「選挙イヤー」と位置づけられる中,参加者は,生成AIによって制作された音声や映像を使って,「ディープフェイク」と呼ばれる偽情報への危機感・警戒感を高め,ファクトチェックによって民主主義の根幹である選挙を健全に進めていくという意識を再確認した。そのために有効な手法が,ほかの組織との連携であることも強調されていた。一方で,ファクトチェック団体の財政状況は厳しく,いかにして維持していくかという問題意識も分かち合っていた。さらに若者を対象にしたメディア・リテラシーを向上させる活動にも参加者から注目が集まっていた。 メディア研究部 塩﨑隆敏 【あわせて読みたい】
調査あれこれ 2024年06月11日 (火) 「日本人の意識」調査 "誰もがデータを利用できる"ページを目指して #544 世論調査部 (社会調査) 中山準之助 「日本人の意識」調査のデータを紹介するページ、もう、ご覧いただけましたでしょうか? 「変わった意識・変わらない意識」の特集ほかに、データのダウンロードなど、ぜひ活用していただきたい仕組みも作っています。 今回のページ、誰もがはっきり、わかりやすく結果を読み取れるように。 工夫して作成しました。 まず、工夫の1つは、 ①グラフの色使いです。 色覚障害のある方にとって、グラフの色使いによっては、回答の違いを識別しにくい場合があります。 例えば、 上のグラフは、赤と緑を見分けにくいという方には下のように見えるといわれています。 (検証時にシミュレーターで再現・色の見え方には個人差があるのであくまでも一例) これでは、グラフの回答項目が同
増大するデジタル情報空間の課題に対応するため、放送メディアにはこれまで以上に果たすべき役割があるのではないか?通信と放送が融合する中、インフラや制度のあり方はどうあるべきか。こうした観点から、総務省では、放送の未来に関する議論が進んでいます。 2021年11月から開催されている、「デジタル時代における放送政策の在り方に関する検討会」、そして2022年9月に立ち上がった「公共放送ワーキンググループ」。いまどのような議論が行われているのか。議論の意味は?そして今後は? 複雑で広範囲な議論の整理をアップデートしながら、放送やデジタル情報空間の論点を俯瞰していきます。 ①これからの“放送”はどこに向かうのか?Vol.8 ②始まった「公共放送ワーキンググループ」の議論 ③2023年1月のNHKを巡る動き ④「公共放送ワーキンググループ」のこれまでを振り返る <第2回・第3回>~2023年1月のNHK
2023年9月6日、総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(在り方検)」が、約1年の議論を踏まえた取りまとめ案を公表した。外資系のプラットフォーム事業者が市場支配力を増す中、NHKの役割の強化や、放送メディア同士の連携の必要性が強く意識された内容となっている。それ以外にも論点は多岐にわたっており、取りまとめ案は838ページに及ぶものとなっている。 本稿では、2023年9月までの約1年にわたる在り方検の議論と、取りまとめ案の内容を俯瞰した。放送の未来像を考える上で筆者が重要だと思った内容を下記の5点の論点として整理した。1.事業運営モデルのアップデート、2.プラットフォーム関連施策、3.放送ネットワークの今後、4.コンテンツ制作の促進、5.メディアの信頼性確保、である。 デジタル時代においては、ユーザーもテクノロジーもビジネスもサービスも放送からネットへと大き
メディア研究部(メディア情勢)村上圭子 はじめに 8月31日、総務省で開催中の放送の将来について議論する有識者会議、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)1) 」で、「公共放送ワーキンググループ(以下、WG)」の取りまとめ案2)が示されました。そして、9月7日からこの案に対する意見募集が開始されています3)。案では、NHKのネット活用業務を“必須業務”として位置づけるべきとの方向性が示されています。 現在、NHKは放送同時・見逃し配信「NHKプラス」や「NHKニュース防災アプリ」など、ネットを活用したさまざまなサービスを実施していますが、これらの業務は、制度上は“任意業務”4)、NHKが行うことができる業務という位置づけになっています。しかし、視聴者の情報入手やコンテンツ視聴の経路がネットに大きくシフトし、テレビを持たない人も増える中、ネット活用業務をNHK
メディア研究部(メディア動向)村上圭子 はじめに 本ブログでは、「NHKを巡る政策議論の最新動向」と題し、NHKのネット活用業務の今後に向けた議論を中心に整理しています。今回はその4回目です1)。 ブログの当初の目的は、総務省「デジタル時代の放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)」の「公共放送ワーキンググループ(以下、公共放送WG)」で行われている議論をできるだけわかりやすく整理することでした。しかし、NHKにおいて、現在は認められていないBS番組の同時配信を名目とする不適切な設備調達の手続き(以下、BS同時配信設備調達問題)が進められていた事案が明らかになったり2)、自民党の情報通信戦略調査会(以下、自民党調査会)において非公開で行われたヒアリングでNHKが答えた内容が公共放送WGの説明より踏み込んだ内容であると新聞で報じられたり3)、NHKによる“日本の放送業界への貢献”とい
メディア研究部(メディア動向)村上圭子 はじめに 5月26日、NHKは総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)」の公共放送ワーキンググループ(以下、WG)第8回会合において、現在は任意業務として行っているインターネット活用業務(以下、ネット活用業務)について、今後は必須業務化を前提に考えたいという意思を表明しました1)。そして、必須業務の範囲については、「『放送と同様の効用』をもたらす範囲に限って実施することが適切2)」との説明を行いました。 NHKの説明の詳細については後ほど詳しく触れますが、説明の後に行われた約80分間の議論では、NHKに対して構成員たちから数多くの厳しい質問が投げかけられました。「質疑がかみ合っていない、(NHKは)かならずしも答えていないところが多々見受けられる3) 」との指摘もあり、WGでは構成員の質問を整理した上で、再度NHK
メディア研究部(メディア動向)村上圭子 はじめに NHKを巡る政策議論の最新動向、1回目は総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)」の「公共放送ワーキンググループ(以下、WG)」で行われた受信料制度議論についてまとめました 。1)そこでも紹介しましたが、4月27日に民放連は、「NHKインターネット活用業務の検討に対する見解と質問について2) 」をWGに提出しています。そして5月19日には日本新聞協会メディア開発委員会(以下、新聞協会)も、「NHKインターネット活用業務の検討に対する意見 3)」を提出しました(以下、「意見書」と総称)。 両者の意見書には、NHKが受信料財源によるネット展開を拡大することや、現在の任意業務を必須業務化することへの懸念が示されています。こうした中、5月24日、NHKの稲葉延雄会長は定例会見で、インターネットの世界でも放送と同じ
メディアの動き 2023年05月25日 (木) NHKを巡る政策議論の最新動向②民放連・日本新聞協会の主張は?【研究員の視点】#483 メディア研究部(メディア動向)村上圭子 はじめに NHKを巡る政策議論の最新動向、1回目は総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)」の「公共放送ワーキンググループ(以下、WG)」で行われた受信料制度議論についてまとめました 。1)そこでも紹介しましたが、4月27日に民放連は、「NHKインターネット活用業務の検討に対する見解と質問について2) 」をWGに提出しています。そして5月19日には日本新聞協会メディア開発委員会(以下、新聞協会)も、「NHKインターネット活用業務の検討に対する意見 3)」を提出しました(以下、「意見書」と総称)。 両者の意見書には、NHKが受信料財源によるネット展開を拡大することや、現在の任意業務を
メディア研究部(メディア動向)村上圭子 はじめに 総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会1) (以下、在り方検)」ではいま、NHKの将来像に関する議論が続けられています。直近の会合(公共放送ワーキンググループ、以下WG)2) では、受信料制度について踏み込んだ議論が行われました。このWGの後、「NHK受信料、スマホ所持でも徴収へ。有識者会議の意見一致」という内容がツイッターに投稿され、リツイートは約1.4万件、表示回数は2,300万回を超えています3) 。しかし、これはWGで議論されている内容とは大きく異なるものでした。実際にどんな議論だったのかは後述しますが、WGを傍聴していた私はとても驚きました。5月9日、オンライン上の情報のファクトチェック(事実の検証)を専門とする非営利組織「日本ファクトチェックセンター4) 」は、総務省にも問い合わせた上でこの内容は誤りである
本稿では、2021年に実施した「メディア利用の生活時間調査」のテレビ画面で動画を視聴する人(全体の6%)に焦点をあて、テレビ画面の利用実態や動画の視聴状況を分析し、今後、コネクテッドテレビが普及しテレビ画面の動画を視聴する人が広がると、テレビ画面の利用が変わるのかどうかについて考察する。 テレビ画面での動画視聴者がテレビ画面で「動画」を視聴する時間量は1時間47分で、「リアルタイム」(1時間39分)と同じくらいであった。1日の推移をみてみると、朝の時間帯は「リアルタイム」が圧倒的に多い一方で、夜間の遅い時間にかけて「動画」が増えていくなど、テレビ画面での動画視聴者は時間帯によってテレビ画面で何を見るかを変えている様子がみられた。また、テレビ画面での動画視聴は、「ながら」視聴も「専念」視聴も同じくらいであった。動画を見ながらしている行動は「食事」「SNS(スマホ)」「身のまわりの用事」などで
Q 「伝統芸能は難しくて敷居が高い」「伝統芸能の敷居を低くして見に行きやすくする」などの表現を使ったところ、おかしいと言われた。どのような問題があるのだろうか。 A 「敷居が高い」は、現代では「気軽には行きにくい」などの意味で使われることが多くなっていますが、伝統的には「不義理・不面目なことなどがあって、その人の家に行きにくい」(『大辞林第3版』)という意味で使われる語です。放送で使う場合には、伝統的な意味と新しい意味とがある語であることを認識したうえで、使う場面を考える必要があります。また、「伝統芸能は、難しそうで見に行くのに勇気がいる」などと言えば「敷居が高い」よりも意味がはっきりします。 一方、「敷居が低い」は新たに使われるようになった語と言えそうです。「伝統芸能の垣根を取り払って見に行きやすくする」などと言いかえるなどの工夫をすると、より適切に、多くの人に伝わりやすくなります。 <
メディアの動き 2023年01月27日 (金) #447 これからの"放送"はどこに向かうのか? ~「公共放送ワーキンググループ」のこれまでを振り返る<第4回の議論から>~ メディア研究部(メディア動向) 村上圭子 ◇はじめに 総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)」の「公共放送ワーキンググループ(以下、公共放送WG)」について、先日のブログ1では第2回・第3回の報告・ヒアリングのポイントを整理しました。今回は第4回の議論を紹介します。 第4回は、私がこれまで約10年にわたり放送政策に関するこの種の検討会を傍聴してきた中でも、最も刺激的な議論が行われた会合の1つではなかったかと感じています。NHK、民放連、新聞協会、総務省、そのそれぞれに対して、構成員たちからかなり厳しい要望や意見が投げかけられたからです。これらは、デジタル時代において旧来型の放送政
メディアの動き 2023年01月25日 (水) #446 これからの"放送"はどこに向かうのか? ~「公共放送ワーキンググループ」のこれまでを振り返る<第2回・第3回>~2023年1月のNHKを巡る動き~ メディア研究部(メディア動向) 村上圭子 (はじめに) 総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)1」の「公共放送ワーキンググループ(以下、公共放送WG)」では、インターネット時代における公共放送の役割や、現在は"任意業務"として行われているNHKのネット活用業務のあり方の検討が進められています。ネット活用業務を拡大すべきか否か、もし拡大する場合には"必須業務"とする等の制度改正を行うかどうか、具体的な業務の範囲や内容は?他のメディア事業者との競争環境をどう確保していくのか?2022年12月まで4回にわたって議論が行われましたが、第4回には、「議論が暗
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