【パリ福原直樹】フランス政府は27日の閣議で、核実験による被ばく者を対象とした核実験被害者補償法案を承認した。仏が被ばく者に全面的な国家賠償を決めたのは初めて。政府関係者は「賠償対象は数百人」と述べた。初年度の予算は1000万ユーロ(約13億円)だが賠償対象が大幅に増える可能性もある。 政府声明によると、仏は現アルジェリアのサハラ砂漠と仏領ポリネシア(南太平洋)で1960年から96年まで計210回の核実験を実施。このうち被ばくが認められた45回の実験を対象とし住民や実験に参加した軍関係者らの被ばく症状確認後、賠償金を払う。 今年3月、モラン国防相が賠償方針を表明していた。国防相は一連の実験で被ばくした可能性のある兵士らは15万人に達すると述べている。 仏政府は「核実験の被害者は存在しない」との立場だったが、サルコジ政権で方針を転換した。国防相は「被害者側に立証責任を求めない」と明言した。