第14回 捜査書類「サルベージ」に執念を燃やす京都府警 Winny事件の捜査手法とAntinnyの後始末 TEXT:佐々木 俊尚 インターネットが社会の基盤インフラとなりつつある一方、アナログ社会にはなかった新たな危険や落とし穴も増え続けている。この連載では、IT化が進む中で起こるさまざまな事件を、元全国紙記者が独自の取材によりお伝えします。(編集部) ■京都府警ハイテク犯罪対策室の捜査員約40人のうち、10人がWinny摘発に割かれる Winny摘発作戦における京都府警の捜査手法が、徐々に明らかになってきている。今回の事件捜査の内部事情を知るある司法当局関係者は、筆者の取材に応じて次のように話した。 「Winnyの摘発は各都道府県の警察がかねてから狙っていたが、開発者が作り上げていた匿名化の仕組みは思ったよりも強固で、警察の技官の持っている技術力では歯が立たなかった。京都府警ハイテク犯罪