静岡市清水区駒越地区でかつてシラス漁などに使われていた木造漁船が、同市葵区の駿府城公園の中堀に浮かぶことになった。約四十年間、持ち主の小屋にしまわれていた船を地元住民らが修理している。市民を乗せ、お堀でかつての勇姿が復活する。 漁船は全長七・一メートル、最大幅一・七メートル。漁業もしていた農業滝戸輝男さん(80)が昭和三十年代初めごろ、駒越の住民ら約二十人とお金を出し合って新造した。櫓(ろ)でこいで駿河湾に出て、同四十年代までシラス漁など漁業に使った。その後は船外機付きの樹脂製の漁船が主流となり、船小屋に納められたままになっていた。 道路の整備に伴って小屋を解体することになり、滝戸さんは船を処分しようと考えた。ところが周辺の住民から「もったいない」という声が上がったため保存することを検討。その中で「お堀に浮かべて市民を乗せるのに使ったらどうか」といったアイデアが出て、寄付金を募って修理する