「もう戻れない」が怖すぎる｜松井博

僕らはこれまで、自由時間の増大を求めて社会を発展させてきました。 鉄道や高速道路などのインフラや自動車や家電製品などの工業製品もそうですし、外食やコンビニエンスストアなどのサービス産業の発達もそうですよね。衣類なども同様です。僕の母の若い頃は自分の着る服を作っていたそうですが、今は誰でも既製品の服を着ています。 増えたのは自由時間だけではありません。食べ物も服もテレビの番組の選択肢も、無限と言ってもいいくらい増大しました。僕が子供の頃はまだビデオデッキすらなくて、テレビのチャンネルもせいぜい５つくらいだったのです。それが今では衛星放送、Netflix、ABEMA TV、アマゾンプライム、YouTubeと、無限に観るものがあるんですよね。 自由になったのはそれだけではありません。 誰もが自分なりのライフスタイルを自らの裁量で選択できる時代になりました。どこに住んでいいし、誰と暮らしてもいい。

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自分の人生は自分でデザインしなきゃならないし、結果がどうであれ、誰のせいにもできない。自ずと、結婚や出産といった不可逆的な意思決定には、慎重にならざるを得ません。「もう戻れない」ことが怖すぎるからです