選手の体を直接触る「トレーナー」や「マッサー」は、大きな責任を負う職業だ。もし選手のケガを悪化させたら、「おまえのせいだ」と追及される可能性がある。ましてや言葉が通じない外国の、それも名門クラブとなれば、少しのミスも許されない。 ACミランの遠藤友則トレーナーは、しみじみと昔を振り返った。 遠藤がイタリアにやって来たのは15年前のことだ。清水エスパルスで働いていたが、清水でプレーしたマッサーロの紹介で名門に潜り込むことに成功した。 「とにかく最初はみんなが嫌がる雑用を必死にやりました。次第に僕にも選手がまわってくるようになったけれども、優秀とされるトレーナーたちに看てもらって、それでも治らなかったので、最後は東洋のマジックに期待してということでした。悪くなったら私の責任。でも治れば勲章ものでした」 東洋医学的な「バランスを整える」治療。 選手が悪化すれば即刻クビである。そこで遠藤は発想を転