(2012年5月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 少し前までインドでは、自国が中国を抜いて世界一急成長する経済大国になるかもしれないと騒がれていた。だが、インドのカメは中国のウサギに追いつくどころか、後退している。成長率は2ケタに達することなく、6%程度に逆戻りしてしまった。 最近、投資銀行3行がインドの将来展望に対する評価を引き下げた。モルガン・スタンレーは、政策の麻痺と外部環境の悪化の結果である景気減速は、深刻で長引く恐れがあると指摘している。 ルピー急落が象徴するインドの失墜 インドの失墜の象徴がルピーだ。ルピーは今年、対ドルで17%以上下落し、史上最安値を記録した。通貨安は本来、少なくとも輸出の助けになるはずだが、輸出はむしろ工業生産とともに落ち込み、工業生産は3月に3.5%減少した。 ルピー安のせいで石油などの輸入品が高くなった。おかげで国内総生産(GDP)比約4%と既に