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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (14)

  • 暗殺作戦、苦難のすべてがこの一冊にまとまった、圧倒的な密度を誇る大著──『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』 - 基本読書

    イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史(上) 作者:ロネン バーグマン発売日: 2020/06/04メディア: Kindle版イスラエルの諜報機関──モサド、シン・ベト、アマンの3機関はその能力の高さから世界中に恐れられている。何より暗殺の作戦数が豊富で、一説によるとイスラエルがこれまで国として行ってきた暗殺作戦は2700件にも及ぶという。イスラエルが国として成立したのが70年前の1948年であることを考えると、驚異的な数といえる。 というわけでこの『イスラエル諜報機関』は、そんなイスラエルの諜報機関がこれまで行ってきた暗殺作戦を、その最初期から現代に至るまで丁寧に追った一冊になる。イスラエルの諜報機関の情報って公開されてんの?? と疑問に思ったが、やはりまったく公開されていないみたいで、国防省に調査協力を求めても無意味。イスラエルの各情報機関に、法律の規定に基づいて過去の文書の資料開示を要求す

    暗殺作戦、苦難のすべてがこの一冊にまとまった、圧倒的な密度を誇る大著──『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』 - 基本読書
  • 抽象絵画とかぜんぜんわかんねぇ、という人にこそ読んでもらいたい──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』 - 基本読書

    なぜ脳はアートがわかるのか ―現代美術史から学ぶ脳科学入門― 作者: エリック・R・カンデル,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/06/22メディア: 単行この商品を含むブログを見るなぜ脳はアートがわかるのか。そんなことをいうと、「いや、そもそも自分にゃさっぱりアートはわからねえ」という人が湧いて出そうだが、かくいう僕もそのタイプ。真四角の図形をぽこぽこ置いて、赤だの黄色だので適当に塗ったとしか思えない絵が抽象絵でありアートなのだと言われてもなにが凄いのだか皆目わからない。 だが、ある意味ではそういう人たちにも読んでほしいだ。これを読むと、なるほど、確かに人間は、そうした一見意味がよくわからない抽象的なアートを「わかる」ことができるのだということが、脳科学的な観点から理解することができるようになる。また、普段からアートを楽しんでいる人たちも、ターナーやモネ、ポロックにデ

    抽象絵画とかぜんぜんわかんねぇ、という人にこそ読んでもらいたい──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』 - 基本読書
  • 21世紀の戦争はなぜ、どのように変わったのか──『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』 - 基本読書

    140字の戦争 SNSが戦場を変えた 作者: デイヴィッドパトリカラコス出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/05/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るSNS上では常に人々が罵り合っておりまるで戦争状態のようだが、そういう意味での戦場ではなく、実際にウクライナやイスラエルvsハマスといった実在する戦場をいかにSNSが変えたかというレポートである。『これは戦争についてのである。と同時に物語──戦争のナラティブとナラティブの戦争──についてのでもある。』 著者は中東をメインに取材するジャーナリストだが、イスラエルとガザの情勢などを調査・報道するうちにとある大きな変化に気がついたことが書を書くきっかけになったようだ。それは、戦争が、戦車や大砲を用いる物理的なものと、民間人までをも巻き込みソーシャルメディアを駆使したナラティブなものの2つに分かれているという事態

    21世紀の戦争はなぜ、どのように変わったのか──『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』 - 基本読書
  • 騙され、不利益を被らないないために必要な基礎知識──『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』 - 基本読書

    データは騙る: 改竄・捏造・不正を見抜く統計学 作者: ゲアリー・スミス,川添節子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 単行この商品を含むブログを見るファクトの価値が高まり続けている昨今だが、そうはいっても何がファクトなのかを見極めるのは難しい。リアルに存在している石に向かって「そこに石がありますよね❔」のような100人中100人が同意するようなファクトばかりがこの世に溢れかえっているわけではなく、ファクトの中にも「だれがどうみてもファクト中のファクト」なやつと「ファクトからずり落ちそうなファクト」とかいろいろなレベルがある。そのレベル分けをある程度自分でできるために必要なのが、統計の知識である。 書『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』は、そんな統計の知識の中でもとりわけ「騙り」の見分け方に焦点を当てた一冊だ。「パターン、パターン、パターン」

    騙され、不利益を被らないないために必要な基礎知識──『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』 - 基本読書
  • 自分が何を知らないのかを知ることの重要性『知ってるつもり――無知の科学』 - 基本読書

    知ってるつもり 無知の科学 (早川書房) 作者:スティーブン スローマン,フィリップ ファーンバック早川書房Amazon「何かを知っている」と言い切るのは、言葉の定義にもよるだろうが、なかなか難しい話だ。たとえば僕は電子レンジがマイクロ波を照射して水分子を振動させることで温度を上げる機械であることを知っているが、そのより詳しいメカニズムはよく知らないし、ましてや自分で部品から電子レンジをつくりあげることなんかできない。 自分を基準にしてしまって申し訳ないが大抵の人が電子レンジについて知っているのはこの程度のものだろう。人間はけっこう賢いし物知りだが、かといって一人で電子レンジを作り上げられるほど、たった1つのモノのすべての側面に精通するほど知ってはいない。書はそうした”人間の無知”についてのである。われわれはいったいどれほど無知なのか。われわれ無知で愚かな人間はどのように物を考え、どう

    自分が何を知らないのかを知ることの重要性『知ってるつもり――無知の科学』 - 基本読書
    frasca
    frasca 2018/04/15
  • 人の意識を機械に移植できるのか──『脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦』 - 基本読書

    脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書) 作者: 渡辺正峰出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/11/18メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る人の意識は機械に移植できるのだろうか。 SFなどではおなじみのテーマだけれども、現実的にはまだまだぜんぜん無理だ。でも、その可能性を検討することはできる。果たしてどうやって意識を移植するのか? そもそも移植すべき意識は脳のどこに、どんな過程で宿るものなのか? 仮に意識の領域、発生プロセスが確定したとして、それを移植したとして、どうやったら「機械への意識の移植が成功した」と確認をとることができるのだろうか? 書『脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦』はそんな脳の意識をめぐる脳神経科学の歴史と成果、それとちょっとばかりの飛躍として、機械の意識について語られた一冊である。これがまあ、基礎的な脳神経科学

    人の意識を機械に移植できるのか──『脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦』 - 基本読書
    frasca
    frasca 2017/12/16
  • 勝てないゲームなんてほとんどない──『完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する』 - 基本読書

    完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する 作者: アダムクチャルスキー,Adam Kucharski,柴田裕之出版社/メーカー: 草思社発売日: 2017/11/20メディア: 単行この商品を含むブログを見るもし何らかの必勝法が存在し、競馬を当て当たりくじだけを買い続けルーレットやポーカーで勝ち続けることができるのならば、いくらだって金を儲けられるぜガハハ──と多くの人が一度は考えたことがあるのではないだろうか。少なくとも僕はある。とはいえ所詮そんなものは夢物語だ、ギャンブルに必勝法なんてものがあるのだとしたら、そもそもギャンブルそのものがこの世から消えてしまうだろう。 だが、実際にこの世のほとんどのギャンブル──ルーレットだろうが、競馬だろうが、宝くじだろうが、ポーカーだろうが──には、必勝とまではいかないものの確実に利益を上げる方法が存在し、科学によって征服されつつある。書は、

    勝てないゲームなんてほとんどない──『完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する』 - 基本読書
  • 読んだ直後から滅茶苦茶役に立つ──『アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール』 - 基本読書

    アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール 作者: ブライアンクリスチャン,トムグリフィス,田沢恭子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/10/19メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る『アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール』とは個人的にそそられる書名ではなかったので(ほぼ原題「ALGORITHMS TO LIVE BY」通り。)なかなか手が出なかったのだが、さらっと読み流すか……と手を出してみたらおもしろくて、その上読んですぐに役に立つ内容が満載なのであっという間に最後まで読んでしまった。 基的にはアルゴリズム──より具体的な言葉でいえば「計算によってあらかじめ算出された、最適な手順」を知っていることが、いかに現実的な問題を解決する役に立つのかを紹介した一冊なのだが、なにしろ単なる手順なので、準備も何もいらないし読んだだけで「おーそうなんだ」とすぐに使

    読んだ直後から滅茶苦茶役に立つ──『アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール』 - 基本読書
  • 宇宙の終わりには何が起こるのか──『すごい物理学講義』

    すごい物理学講義 作者: カルロロヴェッリ,Carlo Rovelli,竹内薫,栗原俊秀出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/05/22メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る書はループ量子重力理論という近年盛り上がっている物理学の分野を、第一人者であるところのカルロ・ロヴェッリが解説したポピュラー・サイエンスである。この分野については、日ではあまりの数が出ていないが、2016年の11月には白揚社から『繰り返される宇宙―ループ量子重力理論が明かす新しい宇宙像』というが邦訳で出ている。こちらもこちらでおもしろかったんだけど、正確に紹介できる気がしなくて記事としてはあげられなかったので、今回はリベンジマッチだ。*1 そういうわけなのでループ量子重力理論についてのは出来る限り読みたい気持ちはあったのだが、何しろ書は書名が書名なのでサーバルキャットが書い

    宇宙の終わりには何が起こるのか──『すごい物理学講義』
  • 人工知能本読みすぎて飽きたけどその中でも記憶に残っている本を紹介する - 基本読書

    この数年人工知能バブルかってぐらい人工知能関連が出まくっていて、最初の頃は律儀に一冊一冊読んでいたもんだが、だんだん飽きてきた(そりゃ読みまくってるんだからそうだ)。やれ人工知能仕事が奪われるだとか奪われない仕事はなんだとかの話は定番だが、定番すぎてそうそう新しい解釈が出てくるわけではない。消える仕事は消えるし、残る仕事の分野もだいたい明らかになってきている。 とはいえそれでも読んでいると「おお、これは視点が良いな」と思えるものもあり、そういうのは読んでいて楽しい。その書き手はやっぱり基的には専門的な知識を持っている人たちだ。認知ロボット工学者であったり、AI研究所に勤めていたり、機械学習の専門家だったりする。最後のはまた特殊事例といえるが、稿ではそうした人工知能飽きた僕の中で記憶に残っているをいくつか紹介してみようと思う。 まずは基的なところを教えてくれる一冊 シンギュラリ

    人工知能本読みすぎて飽きたけどその中でも記憶に残っている本を紹介する - 基本読書
  • 人間と機械の境界を探る──『明日、機械がヒトになる ルポ最新科学』 - 基本読書

    明日、機械がヒトになる ルポ最新科学 (講談社現代新書) 作者: 海沢めろん出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/05/18メディア: 新書この商品を含むブログを見るSR(代替現実)、3Dプリンタ、アンドロイド、AI(人工知能)、ヒューマンビッグデータ、BMI、幸福学とテクノロジーに関連する諸分野の専門家へと小説家の海沢めろんさんが話を聞きに行ったインタビュー集である。 最先端の研究者はを書く暇なんてないので「忙しく研究している人へと話を聞きに行く」はありがたい。とはいえ2年前の取材も入っていてそれはもうルポ最新科学ではないのではと思いながら読んだら、確かに古いけれどもなかなか楽しませてもらった。わりと研究の筋には関係ないというか研究者の素の部分みたいなのが現れているのもおもしろい。石黒浩さんが『僕も、従来の物質的な幸せや金銭的な幸せを超えて、ある程度人が納得するような精

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  • 知能の高いヤツがバカなことをする理由──『知能のパラドックス』 by サトシ・カナザワ - 基本読書

    知能のパラドックス 作者: サトシ・カナザワ,金井啓太出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2015/07/24メディア: 単行この商品を含むブログを見る「知能のパラドックス」と書名にもなっているとおり(原題はthe intelligence paradox)、知能が高いことが=賢い、素晴らしいことにはならない、知能が高いからこそバカなことをするヤツラが出てくる理屈を提示する一冊で、そのパラドックスはこれから説明していくとわかると思うが、かなり面白い。 知能のパラドックス仮説を正しいとするならば、背の高い人や社交的な人が、そうでない人より価値が高いとか優れていることとは別であるように、知能が高いことも低いこともそうした良いこともあれば悪いこともある単なるステータスの一つとして受け入れられるようになるだろう。ただ、その仮説を補強するように集められているデータとそこからひねり出された理屈

    知能の高いヤツがバカなことをする理由──『知能のパラドックス』 by サトシ・カナザワ - 基本読書
  • 見てしまう人びと:幻覚の脳科学 by オリヴァー・サックス - 基本読書

    我々は、現実をありのまま見ているわけではない。赤外線も見えなければ紫外線も見えないし、網膜に刺激がきてから知覚が成立するまでに約100ミリ秒の遅れが存在している。我々が見ている世界は常に現実から遅れ、脳が処理した映像を「見せられている」と言える。脳の後方、後頭葉に位置する一次視覚野には、網膜から皮質への二地点間マッピングがあって、そこで視野の光や方向や位置が表現される。目からのインパルスは大脳皮質までまわって、一部はその過程で脳の反対側にまわり、視野の左半分は右後頭葉へ、右半分は左後頭葉へ行く。ちょうど逆向きになるわけだ。つまり後頭葉がどちらか、損傷を受けると視野が欠けたりといったことが起こる。 我々は現実を脳で見ているのだから、脳に異常が起これば見えなくなるし、あるいは存在しないはずの物が見えるようになったりする。書『見てしまう人びと:幻覚の脳科学』はおもに一般向けの脳科学を出してい

    見てしまう人びと:幻覚の脳科学 by オリヴァー・サックス - 基本読書
  • マインド・イーター - 基本読書

    これは素晴らしい。 僕の中ではぶっちぎりで今年ベスト(いや、まだ天冥の標が出るからわからない)。小説というのはここまで出来るものなのか…と読み終えて呆然としてしまった。 文章は「この一行を書くのにどれだけの時間をかければ到達できるんだ」という程の密度で展開し、構成は一度読んだ後に読み返すと最初からすべてが計算され尽くしていることを知らされ恐ろしくなる。知見は新しく、誰も書いたことがないような発想でもって支えられている。 その全てが高いレベルで達成されていて飛浩隆先生が解説にて『『マインド・イーター』は、疑う余地なく一九八〇年代の日SFが成し遂げた最高の達成のひとつである』といった理由がわかる(余談だけど飛先生がTwitterでこの作品に解説を書いたと読まなかったら出版されたことに気が付きすらしなかったかもしれない。ありがたい) 書はメインストーリーとしてマインド・イーターと称されるよく

    マインド・イーター - 基本読書
    frasca
    frasca 2011/11/20
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