支持率が危険水域に入った。8月3日、党・内閣改造を成功させられなければ、安倍晋三の政治生命は終わる。安倍は「おっさん」の沈黙の意味を深読みし、悶え苦しみ、人事を決める。 安倍はまだ迷っている 東京・富ヶ谷の安倍晋三邸。安倍は携帯を握りしめ、ひっきりなしに電話をかけ続けていた。副総理の麻生太郎、総理秘書官の今井尚哉、内閣情報官の北村滋、NHK政治部の岩田明子……。 麻生はドスの利いた声で「とにかく裏切らない奴にしてくださいよ」と念を押して言ってきた。 脳裏にある組閣リストは、めまぐるしく変わり続ける。新しい人物が挙がれば、今井と北村に連絡して名前を伝えるし、その間にも2人から「身体検査」の結果が携帯に入ってくる。 だが、あの男からは電話がかかってこない。 7月15日からの3連休、安倍は自宅に籠もった。8月3日に行う内閣改造のためだ。 麻生と菅義偉の続投は決めた。あるピースの埋め込みを迷ってい