列車通過時の振動や空中を飛ぶ電波など身の回りで活用されていない微小なエネルギーで発電する「エネルギーハーベスティング(環境発電)」の研究が加速している。機器の電池交換や配線がいらなくなるのが利点だ。多数のセンサーからの情報を活用する「モノのインターネット」(IoT)に使われることが期待され、国も「戦略目標」のひとつに掲げている。 配管の水・東京タワーの電波も活用 関東地方にある鉄道の鉄橋で試験中の異常監視のセンサー。電源は列車が鉄橋を通過するたびに起きる1秒間に約70回の振動で発電した微弱電流だ。鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)が開発した発電装置は8センチ角の特殊なセラミックスで、振動で圧力がかかると電流が流れる。 小林裕介主任研究員によると、従来の点検は足場を組んで作業員が目視で行うため手間がかかった。通常のセンサーを置いて電線を張ると費用がかかる。振動発電は手軽で半永久的に発電でき