東電の福島第一原発事故後に福島で「100ミリシーベルト以下は安全」と言い広めた山下俊一医師が、チェルノブイリ事故後には、 低線量被ばくが続くことへの危惧 と、 小児以外の年齢層の甲状腺がんやその他のがんの増加に対する懸念 を表していたのをご存知だろうか。 山下医師のこれまでの分析に基づけば、これらの危惧や懸念は日本には当てはまらなかったが、そう言い切るための根拠が、3月31日に行われた民間団体「3・11甲状腺がん子ども基金」(崎山比早子・代表理事、上写真中央)の発表を通して崩れてきた。 低線量被ばくと他のがんの懸念 チェルノブイリ原発事故から14年が経過した2000年、山下医師は「 チェルノブイリ原発事故後の健康問題 」とした報告(*1)を次のような言葉で結んでいた。 「事故による直接外部被ばく線量は低く、白血病などの血液障害は発生していないが、放射線降下物の影響により、放射性ヨードなどに
先週月曜日の「森友学園の国有地取得の収支」、火曜日の「森友学園への不明瞭な国給付」に引き続き、今週も森友学園の問題について書きます。一週間で、だいぶん、事態が変わってきた印象です。 松井一郎・大阪府知事(維新)-森友学園の関係「条件付き認可」は松井一郎・大阪府知事の下でのこと今回問題となっているのは、森友学園が大阪府豊中市の国有地を廉価で購入した件ですが、もともと、森友学園は本物件に小学校を設立しようとしています。そこで調べてみると、私立の小学校の設置について、私立学校審議会に諮問し、答申を受け、設置認可を判断するのは、都道府県知事です(地方教育行政の組織及び運営に関する法律22条3号、私立学校法8条1項で参照する学校教育法4条1項3号)。 この点、大阪府では、2011年に松井一郎知事が就任後、松井知事の下で、2012年、借入金があった森友学園でも小学校設置できるように規制緩和されました。
「ワセダクロニクル」という調査報道メディアが注目を集めている。2月1日に誕生したばかりの新しいウェブメディアだが、第1弾として、全国の地方紙にニュースを配信する通信社「共同通信」の記事が、大手広告代理店「電通」のグループ会社によってお金で買われていた、というスクープを放って反響を呼んだ。 共同通信は「事実誤認がある」と反論しているが、ワセダクロニクルは「連載形式で続報を掲載していく」としているので、今後の展開に注目したい。 このワセダクロニクルは、早稲田大学ジャーナリズム研究所(所長・花田達朗教授)が運営するメディアで、支援者の寄付金に頼りながら、調査報道ジャーナリズムに特化した活動をおこなっていくと表明している。 政府や企業の発表に依存せず、独自の調査で丹念に事実を集めて、権力の不正を暴こうとする「調査報道」。大学を拠点にそこに注力しようという試みは、従来の日本では見られないユニークなも
保守派が保守政権を批判する構図「集団的自衛権は必要だ!」 「立憲主義を守れ!」 安全保障関連法制をめぐって、日本社会が大きく揺れている。 参議院で続く審議は、日程的に佳境に入りつつある。与党は来週17日にも本会議で可決を目指す方向だ。仮にそれが退けられても、衆院で再可決する60日ルールによって安保法制は成立する可能性が高い。 こうしたなかで注目すべきなのは、改憲論者による異議申立てだ。改憲論者の多くは政治的には保守派に位置する立場である。そんな彼らが解釈改憲で押し切ろうとする安倍政権を厳しく批判する。つまり、保守派が保守政権を強く批判するという構図だ。 今回の安保法制のポイントのひとつはここにある。従来の保守対革新(右派対左派)といった素朴な対立構図だけでは、決して読み切ることができない政治状況があるのだ。それは冷戦が終結して以降、四半世紀経ったいまだからこそ生じる政治的な課題でもある。
現実離れした神学論争中東・ホルムズ海峡での機雷掃海について集団的自衛権が必要か、個別的自衛権でも対応できるのか――。安全保障関連法案を審議する国会では、日本に石油を運ぶシーレーンの大切さと世界一の海上自衛隊の掃海能力をまったく無視した「神学論争」が繰り広げられている。 「Very Large Crude Oil Carrier(VLCC)」と呼ばれる超大型タンカーの船長を務め、ホルムズ海峡を何十回も航行、1980年代のイラン・イラク戦争、イラン軍・イラク軍がタンカーなどの船舶を攻撃したタンカー戦争、91年の湾岸戦争など「危機のペルシャ湾」をくぐり抜けてきた片寄洋一さんを直撃した。 ――ホルムズ海峡はどんなところですか 「ホルムズ海峡は狭く、両岸は暗礁、岩礁が多く、また水深が浅く、(そのほとんどは)小型船しか航過できません。大型船は中央部分にある航路筋だけが航過できますが。VLCCは中央部の
前略 安倍晋三さま 日々の公務お疲れ様です(とは言いましても、残業代ゼロ法案や派遣法改悪、原発再稼働や原発輸出、武器輸出、辺野古への米軍基地移設etc、全くありがたくないので、この辺りに関しては、頑張らないでいただきたいのですが)。 さて、この度、首相は安保法制(戦争法案)を閣議決定され、これについて会見されました。私は、主に中近東でイラク戦争での現場取材含め、この10年以上対テロ戦争をウォッチしてきた者です。そうした経験から見て、首相のご発言には、いくつもの疑問点、はっきり言わせていただければ、ウソや詭弁、ツッコミどころがあると思います。つきましては、僭越ながら、首相のご発言の赤ペンチェックをさせていただきました。また、ご発言にからみ、質問もさせていただきます。 「もはや、一国のみでどの国も自国の安全を守ることはできない時代であります。この2年、アルジェリア、シリア、そしてチュニジアで日
「生活保護は遺伝する」「(生活保護を受けている家庭の子どもは)根が腐る」「(生活保護受給者が多い)大阪はふきだまり」いかに候補者個人の発言であっても、特定の人たちへの「差別」といえるような発言はどこまで許されるのだろうか。選挙期間中であるため、各候補について報道機関各社はいつも以上に中立公平な取り扱いを求められるため、大手メディアでは書かれていないが、札幌市長選挙の候補者による発言が今、ネット上などで全国的な波紋を広げている。 札幌市長選では、5人が争っている。 札幌市長選、新人5氏の争い確定 人口減対策など争点(3月29日、北海道新聞)29日告示の札幌市長選で、同市選管は同日午後5時に立候補の届け出を締め切った。午前中に届け出た5氏以外に立候補はなく、いずれも新人5氏による争いが確定した。 立候補したのは届け出順に、共産党道委員会副委員長の春木智江氏(56)=共産党公認=、元総務省自治大
若者言葉ならば「神コメント」と言うのだろう。偶然、テレビからそんな言葉が聞こえてきた。 NHKの「あさイチ」で、メインキャスターの有働由美子、井ノ原快彦の2人の横でどぼけたオヤジギャクを時折飛ばす柳澤秀夫解説委員。 ふだんは温厚で駄洒落好きのちょっとズレた中年男性という役割で発言するが、今朝は冒頭から違った。 有働、井ノ原の「朝ドラ受け」をさえぎって、以下のようにコメントしたのだ。 「あさイチ」を見ていなかった人のために、あえてその全文を書き写してみた。 「冒頭なんですけど、すみません。昨日から今日にかけて大きいニュースになってきた後藤健二さんなんですけど、 ちょっと、あえて、冒頭で、一言だけ・・・。 僕も後藤さんとはおつきあいがあったものですから、一番、いま、強く思っていることは、ニュースではテロ対策とか過激派対策とか、あるいは日本人をどうやって守ればいいか、が声高に議論され始めているん
「イスラム国」による日本人拘束事件が重大局面を迎えています 。いま日本人が海外で危険な目に遭うケースが増えています。様々な形態がありますが、どうしても必要な場合、自衛隊が救出に行けないか、という気持ちが我々の頭をよぎります。日本政府もそのような質問に対してどのように説明するか、すでに準備しているようです。 【図表】<集団的自衛権>日本の「イスラム国」攻撃への参加はあり得るのか? 「滞在国の政府が保護する」が原則 基本から言えば、日本人の安全を保護するのはその日本人が居住、活動あるいは滞在している国の責任であり、 逆に、日本にいる外国人の安全を確保するのは日本の責任です。 しかし、自然災害のため、あるいはテロ攻撃に巻き込まれたため外国人が危険な状態に陥っても十分に保護できない場合があります。それでも滞在国の政府によって保護してもらうという筋道を踏み外すことはできません。地震などの場合は、外国
はじめにゼンショーホールディングス(以下「ゼンショー」)に宛てた「『すき家』の労働環境改善に関する第三者委員会」の調査報告書(平成26年7月31日付)を読んだ感想としては、まず、形式だけの調査ではなく、それなりに実態に踏み込んだ調査であるとの第一印象を受けた。 本来であれば、企業が労働基準法を守っていないことは恥ずべきところであるが、労基法を守っていないことを赤裸々に記載しているところに第三者委員会の本気度は認めることができ、これを公表したゼンショーにも、その態度自体は、それなりに肯定的評価をすることはできる。 なお、批判的検討としては、次の記事が参考になる。 すき家の第三者委員会報告書雑感(渡辺輝人) 労働基準法違反の蔓延報告内容についてであるが、目を覆うばかりの労基法違反が蔓延していることが明らかになった。 列記すると、 正社員にもクルー(アルバイト)にも発生している慢性的な長時間労働
Twitterである記事が悪い意味で話題になっているものの、どこも取り上げる所が無いようなので、せめて私の方で記録を残したいと思います。 産経新聞の2014年W杯特集内の各国代表ニュースにこんな記事がありました。 世界中から多くの観光客が集まるワールドカップ(W杯)。さまざまな経済波及効果を生むが、裏の社会にとっても“稼ぎ時”という。多くの専門家が「W杯期間中、ブラジルでの観光客目当ての売春が急増する」との見方を示している。というのも、ブラジルでは18歳以上であれば、売春は合法だからだ。普段でも海外から売春ツアーにやってくる観光客も多い。W杯ともなれば、一気に活気づく恐れもある。観光客を目当てにするため、多くの売春婦が英会話を学んでいるとの報道まであった。 出典:ブラジルにセックス観光の恐れ 児童買春にも目を光らせるが… ブラジルW杯を前にした、ブラジルにおける少女売買春の問題を提起してい
画期的な決定だった。再審開始や死刑の執行停止だけでなく、拘置の執行を停止し、有罪判決の決め手となった証拠が「捜査機関によってねつ造された疑いのある」ことも明記されていた。これによって、死刑囚が再審開始決定を受けてすぐに釈放されるという、戦後初めての急展開となった。 釈放された袴田巌さんと姉の秀子さんDNA鑑定の威力本文は68ページ。再審請求審の決定書としては、さほど長くはない。裁判所の判断の説明はDNA鑑定から始まる。この決定書を読んで、改めてDNA鑑定が裁判所に与える影響は強い、と感じた。足利事件や東電OL事件も新たなDNA鑑定によって再審開始が決まったが、今回もDNA鑑定が再審開始の大きな根拠となった。 事件発生から時間が経過していることや保管状況などから、検察側は試料の劣化や捜査員らのDNAが付着するコンタミネーションの影響を強調したが、裁判所は(1)血液に由来するDNAは試料中に長
日経平均株価が2月5日の東京株式市場で一時、約4カ月ぶりに1万4千円を割るなど、安倍晋三首相の経済政策アベノミクスに強烈な逆風が吹いている。 3日には、安倍首相が任命したNHK経営委員でベストセラー作家の百田尚樹さんが東京都知事選に立候補した元航空幕僚長の田母神俊雄氏の応援演説で「南京大虐殺はなかった」と発言した。 菅義偉官房長官が「個人的な演説は放送法に違反しない」と擁護するなど火消しに追われた。 一方、ティム・ヒッチンズ駐日英国大使が時事通信の内外情勢調査会で「過去の過ちを挽回する最善の方法は、犯した過ちを認め、より良い未来を積極的に築くことだ」と講演、悪化している日韓・日中関係の改善を求めた。 安倍首相に厳しい英紙フィナンシャル・タイムズのアジア担当部長デービッド・ピリング氏は「安倍政権の基盤はアベノミクスとナショナリズム」というのが持論だ。 アベノミクスとナショナリズムの間には因果
最初に断っておくが、今回書くのは記事というより、コラムだ。そう、イラク戦争やレバノン戦争、ガザ侵攻などのパレスチナ紛争etcといった、戦争取材を重ねてきた者としての、一意見である。 東京都知事選に田母神俊雄・元航空自衛隊幕僚長が出馬するという。保守政党からの支持も得られない泡沫候補であり、いちいち相手にするのもどうか、とも思うが、かつてナチスが台頭した際も、当時の知識人達は「まさかあんなバカ達が政権を取ることはないだろう」とタカをくくっていたというから、やはり発言しておくべきなのだろう。さて、私が言いたいことは、要約すれば、 「本当の戦争の悲惨さを知らないネトウヨ親父は大人しく引退しなさい」 ということだ。田母神氏は、元空自幕僚長という経歴やその過激な発言から一部のネット右翼に人気であるようだが、本当の戦争というものを経験していないという点では、彼の支持層と同じ「ネトウヨ親父」にすぎない。
「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」 出典:先月29日の講演での麻生副総理の発言 先月29日、都内での講演での、ナチスを引き合いにした麻生太郎副総理の発言が波紋を呼んでいる。自民党が目指す、日本国憲法の改憲についての話の流れで、上記の様な発言が飛び出したのだ。この発言は国際的にも問題となり、米ユダヤ団体も「ナチス・ドイツの台頭が世界を恐怖に陥れたことを忘れたのか」と非難声明を発表。麻生副総理も慌てて発言を撤回する騒ぎとなった。だが、我々日本の国民としては、発言撤回云々よりも、「ナチス手口学んだらどうか」発言に、麻生副総理や自民党の本音が現れていることに注目すべきだろう。それはすなわち、「国民は黙って国家に従え」という、独裁的な国家観、憲法観である。 ◯麻生副総理ご推薦のナチスの手口 麻
検察が、片山祐輔氏の犯人性についての主張を明らかにするとしていた7月10日午後5時過ぎ、主張を書いた書面が提出され、弁護人に請求証拠が開示された。それを受けて記者会見した弁護人は、「片山さんと犯行を直接結びつける物的証拠は全くなかった」と強調した。これまで、片山氏が猫に首輪をつける場面のビデオ映像があるとか、片山氏が以前使っていたスマートフォンから犯人が送りつけたのと同じ猫の写真が復元されたなど、決め手となる物証があるという報道が何度もなされてきたが、開示された証拠の中には、そうしたものはなかった、という。 会見する佐藤博史弁護士ただ、検察側は、片山氏が犯人とみて矛盾しない、あるいは片山氏が疑わしく思えるような間接証拠をいくつも出している模様だ。そうした証拠を積み重ねることで、有罪の心証を形成しようという作戦なのだろう。 江ノ島の猫に首輪は誰が…たとえば、江ノ島については、1月3日午後2:
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