<研究の背景と経緯> 生命の「基本設計図」と称されるDNAが一時的にRNAにコピーされ、生命構造の「部品」であるたんぱく質が作られるということが生命現象の柱であると考えられています。すなわち、RNAは遺伝子情報の一時的な伝達物質の役割を果たすものと考えられてきましたが、近年、RNAは一時的な伝達物質の役割以外にも多くの重要な役割を持ち、生命現象に直接的に深く関わっていることが分かってきました。 とりわけ、21-23塩基程度の小さなRNAが直接的に遺伝子の発現量の調節や遺伝子構造の構築に深く関わることで生命現象に影響する現象をRNA干渉と呼び、この十数年の生命科学研究の中で非常に重要な発見として知られています(2006年には「RNA干渉」の発見に対してノーベル医学生理学賞が授与されました)。 このRNA干渉を引き起こす際に重要な分子として働く21-23塩基程度の小さなRNAは、機能を発揮する