私はディスプレイの画像を指差し、130億年前という古代の宇宙なのだが、こんなに大きな天体を見つけてしまったことを彼女にまくしたてるように伝えた。最初はキョトンとしていたジャニスさんも状況を一通り理解すると、「うわ、おめでとう。それはすごい発見ね!」と返してくれたのだった。 その後、邪馬台国の女王「卑弥呼」にあやかり、NB921-C-36215天体を「Himiko」と名付けた。名前の由来は、日本のSXDS天域(連載第2回参照)で見つかったこと、130億年前という古代宇宙にありながら一際目立つ天体であったこと、さらになぜこんなに巨大であるかが謎だったことによる*2。 *2 当時、Himikoは129億年前の宇宙で見つかったと発表された(報道資料1、2)。129億年という値は当時広く受け入れられていた宇宙論パラメーター(宇宙年齢として137億年を与える)を使って計算された値である。現在はより高い