1941年8月に日本の敗戦は予測されていた。4ヶ月後、同年12月には真珠湾攻撃が始まる。そんな年の出来事である。 予測したのは戦後に日銀総裁、東芝社長などを務めることになる将来を有望視された30代たち。彼らは国の命令で集められ、もう一つの内閣を作り、詳細なシミュレーションに取り組んだ。 日米開戦の結果はどうなるか? 彼らの結論は「日本必敗」だったーー。 未来の東芝社長、日銀総裁集った「総力戦研究所」 「総力戦研究所」の存在を知っているだろうか。1941年=昭和16年4月に開所式があったばかりの組織である。集められたのは第一線で働いていた官僚、軍人、ジャーナリストらエリート36人である。彼らは30代ばかりで、その平均年齢は33歳だった。 当時の日本において最良にして最も聡明な(ベスト&ブライテスト)と呼べる35人だった彼らは模擬内閣を作り、一つのミッションを命じられた。 「日本とアメリカが開