【書評】『詭弁社会―─日本を蝕む“怪物”の正体』/山崎雅弘・著/祥伝社新書/1023円 【評者】岩瀬達哉(ノンフィクション作家) 記者クラブは公権力とべったりと言われてきたが、いまほどの底抜け感はなかった。記者会見で政治家やキャリア官僚たちが「詭弁」を弄して誤魔化そうとすれば、執拗に食い下がってきたものだ。単純思考で同じ質問をくりかえすのではなく、納得いく説明を求める気概があった。 新聞の購読部数が減り、テレビ報道が面白くないのは、権力側のあきらかな詭弁をそのまま記事にしているからだ。SNS上に溢れる一般ユーザーの率直なコメントのほうが、よほど本質に迫っている。遠慮のない批判は痛快で納得感があり、タメになる。マスメディア衰退の原因は、「ごく当たり前」の「論理力」を失い、「批判的思考」ができなくなっている報道体制にあると言っていい。 「説明を控えさせていただく」 「個別の話については……コメ
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